2026年8月13日からの大雨で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、復旧が一日も早く進むことを願っています。
2026年9月1日、気象庁は「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会」の結果を公表しました。この夏の記録的な暑さ、西日本の少雨、過去にあまり例のない経路をとった台風第15号、そして8月13日から14日の千葉県の大雨。それぞれ別々の出来事のように見えていたものが、1つの大気の流れの上でつながっていた——そう読める内容です。
ただ、公表資料は専門用語が多く、図も17枚あります。読み通すには少し骨が折れます。この記事では、その結果を順番にかみくだき、最後に「では次の大雨と次の暑さで何を見ればいいのか」まで書きます。
なお、この記事の数値と記述は、2026年9月2日に確認した気象庁の公式発表にもとづいています。当日の観測値は速報値で、後日の資料整理で値や順位が変わることがあります。実際に行動するときは、必ず最新の公式情報をご確認ください。
異常気象分析検討会は、何をする場なのか
まず、この検討会がどういうものかを押さえておきます。ここを取り違えると、結果の読み方まで変わってしまうからです。
気象庁の説明によれば、異常気象分析検討会は、社会経済に大きな影響を与える異常気象が発生した場合に、大学・研究機関等の専門家の協力を得て、最新の科学的知見にもとづく分析検討を行い、その発生要因等に関する見解を迅速に公表することを目的としています。委員は大気大循環や地球温暖化の専門家で、必要に応じて委員以外の専門家も参加します。
対象は、大気大循環の異常が主な要因で、比較的長期(2週間程度)にわたって持続した異常気象です。加えて、台風や集中豪雨のような短い時間で起きる現象についても、その背景にある大気循環の変動や地球温暖化との関連を検討することがあります。今回、夏全体の高温・少雨と、台風第15号や千葉豪雨が同じ資料に並んでいるのはこのためです。
ここで大事なのは、この検討会が出すのは予報ではなく、起きたことの原因分析だという点です。天気予報は「これから」を当てにいくもので、検討会は「なぜそうなったのか」を、あとから複数の専門家で突き合わせるものです。
だから、この結果を読んでも来年の夏は分かりません。代わりに手に入るのは、同じ形の大気の流れが現れたときに何が起こりうるかという引き出しです。実務的には、そちらのほうがずっと役に立ちます。
先に、この記事に出てくる7つの言葉
この先、聞き慣れない言葉がいくつか出てきます。先に意味だけ通しておくと、あとの説明が一気に読みやすくなります。
| 言葉 | どういうものか |
|---|---|
| チベット高気圧 | 夏にユーラシア大陸の上空に現れる、背の高い(上層の)高気圧。日本の夏を支配する太平洋高気圧とは別物 |
| モンスーンジャイア | 7月から9月に日本の南海上へ時折現れる大規模な低気圧。アジアモンスーンに伴う西風と、太平洋高気圧の南縁を吹く東風が集まるところにできる、巨大な反時計回りの渦 |
| 寒冷渦 | 上空で偏西風から切り離されて孤立した、冷たい空気を伴う渦。真下の大気を不安定にする |
| 偏東風波動 | 熱帯の東風の中を西へ進んでいく波。台風の卵になることがある |
| シアーライン | 風向や風速が急に変わる境目の線。空気が集まって上昇しやすい |
| メソ対流システム | 積乱雲がまとまって、数十キロから数百キロの規模で組織化した降水系。線状降水帯もこの一種 |
| イベント・アトリビューション | ある異常気象が、地球温暖化によってどれだけ起こりやすくなったかを、計算実験で見積もる手法 |
この7つのうち、前半の4つは「大気の流れがどうだったか」を説明する言葉、後半の3つは「雨がどう降ったか」と「温暖化がどう効いたか」を説明する言葉です。並び順は、そのままこの記事の進み方でもあります。
とくにモンスーンジャイアは、今年の夏を理解するうえで何度も出てきます。台風第15号の進路にも、千葉豪雨の水蒸気の流れ込みにも、この巨大な渦が関わっていたというのが検討会の見立てです。
令和8年夏に起きたことを、記録で押さえる
原因の話に入る前に、何が記録として残ったのかを整理します。検討会の資料に書かれているものだけを並べます。
| 出来事 | 内容 | 統計上の位置づけ |
|---|---|---|
| 西日本の夏の平均気温 | 6月から8月の平均 | 昭和21年(1946年)以降で第3位の高温 |
| 酷暑日(最高気温40℃以上) | 延べ36地点 | 平成22年(2010年)以降で最多。国内で初めて5日連続の酷暑日も記録 |
| 8月の九州北部地方の降水量 | 梅雨明け後、西日本を中心に雨が少ない状態が続いた | 昭和21年以降で最も少ない記録 |
| 夏の台風発生数 | 17個(平年値は11.0個。平年値の統計期間は1991年から2020年) | 昭和26年(1951年)の統計開始以降で3位タイ |
| 台風第15号 | 日本の東の海上から茨城県に初めて上陸し、本州を西に進んだ | 過去あまり例のない経路 |
| 千葉豪雨 | 8月13日夕方から14日未明にかけて千葉県で記録的な大雨 | 千葉で24時間降水量367mm、1時間降水量115mmを観測 |
並べてみると、この夏の特徴がはっきりします。西日本では記録的に暑く、記録的に雨が少なく、その同じ夏に、関東では記録を更新する大雨が降ったということです。少雨と豪雨は正反対の現象に見えますが、あとで見るように、どちらも同じ偏西風の蛇行から説明がつきます。
台風についても、数の多さと経路の異常さは別の話です。数が多かったことにはエルニーニョ現象が関係し、経路が特異だったことにはモンスーンジャイアと上空の寒冷渦が関係しています。1つの原因で全部を説明しようとすると、かえって見誤ります。

図1を見ると、猛暑日を観測した延べ地点数は、7月31日時点で3,843地点、8月31日時点で7,528地点まで積み上がっています。酷暑日は6月30日時点で0地点、7月31日時点で24地点、そして8月31日時点で36地点。7月に立ち上がった暑さが、8月後半にもう1回立ち上がった形が、線の折れ方に出ています。

一方で雨のほうは、梅雨明け以降ほとんど積み上がりません。図2は7月7日以降の積算降水量を過去の少雨年と比べたもので、令和8年の線が下側を這っています。8月の九州北部地方の降水量が昭和21年以降で最も少なくなった、という記録の中身がこれです。
「酷暑日」は、今年から使われ始めた言葉
表の中に出てきた酷暑日について補足します。気象庁は2026年4月17日の報道発表で、最高気温40℃以上の日の名称を「酷暑日」に決めたと公表しました。名称は公募で、総回答478,296件のうち「酷暑日」が202,954票と最も多く、有識者からも日本語として適切だという意見を得た、とされています。同発表には、今後、気象庁が発信する情報等において利用すると書かれています。
真夏日(30℃以上)、猛暑日(35℃以上)の上に、もう1段階増えたことになります。段階が増えたのは言葉遊びのためではありません。その温度帯が、名前を付けて注意を呼びかける必要があるくらいには珍しくなくなったということです。
暑さと少雨は、上空の偏西風の蛇行から始まった
ここから原因の話に入ります。検討会が最初に挙げているのは、上空の偏西風が日本付近で大きく蛇行し、日本の東海上では南北2つに分かれて流れたことです。

模式図の左半分を見てください。偏西風が北へ大きく張り出しているところに、上層のチベット高気圧が西日本付近まで伸びています。夏の日本を覆う太平洋高気圧は下層が中心ですが、チベット高気圧は上層の高気圧です。
この2つが重なると、地上から上空まで一体となって高気圧に覆われた状態になります。これが資料でいう「背の高い高気圧」です。
背の高い高気圧の中では、下降気流が卓越します。空気は下へ押し下げられるときに圧縮されて温度が上がり、同時に雲ができにくくなります。雲ができなければ日射がそのまま地面に届き、地面が熱せられてさらに気温が上がる。押し下げられて暖まる効果と、晴れて日射で暖まる効果が重なったというのが、西日本の高温・少雨の骨格です。

この2つの効きぐあいは、資料の中で数字としても確かめられています。

図7によれば、高温が続いた7月中旬から8月上旬にかけて、下向き短波放射フラックス——地面に届く日射の量——が平年を上回った日が多く、晴れた日が続いたことが確認されています。同じ期間、鉛直流の効果による気温変化が大きく、7月下旬には水平移流の効果も気温変化に寄与しました。晴れていたから暑かった、という単純な話ではなく、上空から押し下げられる働きがかなりの部分を占めていた、ということです。
そして高温には、地球温暖化による大気全体の気温の上昇も影響していると、検討会は明記しています。この点は章を分けて見ます。
地球温暖化がなかったら、この高温は「ほぼ発生し得なかった」
検討会の結果で、いちばん踏み込んだ表現がここです。イベント・アトリビューションという手法を使った解析により、7月中旬から8月上旬の西日本の高温は、地球温暖化がなかったと仮定するとほぼ発生し得ないことが示された、とされています。

手法の中身は、言葉にすると意外と素直です。実際の気候条件のもとでシミュレーションを何十通りも走らせ、そのうち今回のような高温が何回出るかを数えます。
次に、地球温暖化がなかったと仮定した気候条件で同じことをして、そこでも数えます。後者でほとんど出てこなければ、温暖化がなければこの高温はほぼ起こり得なかったと言える、という組み立てです。
ここで誤解しやすいところを1つだけ。これは「この夏の暑さは温暖化だけで説明できる」という意味ではありません。まず偏西風の蛇行とチベット高気圧の張り出しという、その年ごとの大気の流れがあり、その上に温暖化による底上げが乗った——という重ね方です。土台の高さが上がったところに、たまたま高い波が来た、と言い換えてもいいと思います。
読者の側から見て意味があるのは、この底上げのほうです。同じような気圧配置になったとき、到達する気温は以前より高くなります。「この時期のこの空模様なら、だいたいこのくらい」という過去の体感の引き算は、少しずつずれていきます。 数年前の自分の感覚を基準に予定を組むより、その日の予想最高気温と暑さ指数の数字を見て決めるほうが、判断としては確かです。
台風が多かった背景には、顕著なエルニーニョ現象があった
視点を熱帯へ移します。この夏は台風の発生数が17個と多く、その一因として偏東風波動の活動が活発だったことが挙げられ、さらにその背景に今年の顕著なエルニーニョ現象があったとみられる、と検討会は整理しています。

エルニーニョ現象の規模はかなりのものでした。7月の太平洋赤道域東部(監視海域)の海面水温の基準値からの差が+2.5℃と、平成9年(1997年)と並んで7月として過去最も大きい値です。図3では、太平洋赤道域の東側で海面水温が2℃以上高く、積雲対流活動も赤道域の中部から東部で活発になっている様子が示されています。
熱帯の東風の中を西へ進む偏東風波動は、条件がそろうと渦を巻いて台風になります。検討会の資料では、昭和54年(1979年)から令和8年までの48年分のデータで、偏東風波動の活動度と夏の台風発生数のあいだに有意な相関関係が認められる、とされています。今年は波の活動が活発で、その分だけ台風の卵が多かったという説明です。

結果として、夏の台風発生数は17個。平年値の11.0個(1991年から2020年の平均)を大きく上回り、昭和26年の統計開始以降で3位タイとなりました。
ただし、発生数が多いことと、日本に接近・上陸する数が多いことは別の統計です。 発生した台風がどこへ進むかは、そのときの上空の風の場で決まります。今年の場合、まさにその進み方が特異でした。
台風第15号は、なぜ茨城県から本州を西へ進んだのか
台風第15号は、日本の東の海上から茨城県に初めて上陸し、そのまま本州を西へ進みました。日本の台風は南から北上してくるものだ、という体感からすると、逆向きに見える動きです。

図9は、8月前半を3つの期間に分けて示しています。8月1日から5日にかけて、台風第13号を含む低気圧が拡大してモンスーンジャイアが形成されます。8月6日から10日には、その渦の縁に沿うように台風第15号が西北西へ進みます。そして8月11日から15日にかけて、房総半島へ向かう水蒸気の流入が現れます。

もう1つの要素が、上空の寒冷渦です。南に分かれた偏西風によって、上層の寒冷渦が相次いで日本付近へ南下しました。図13では、その寒冷渦との相互作用の中で、台風第15号が反時計回りに西北西進していった様子が描かれています。北に分かれた偏西風によって日本の東海上の高気圧が強まったことも、進路に寄与したとされています。
つまりこういうことです。台風は自分で進路を選んでいるのではなく、周りの風に流されて進みます。 ふだんの夏なら太平洋高気圧の縁を回って北上・北東進するところ、今年の8月前半は、東海上の高気圧、南下してきた寒冷渦、そして巨大な反時計回りの渦であるモンスーンジャイアが同時にそろい、その中に置かれた台風第15号は東から西へ運ばれることになりました。
実務的な教訓は1つです。台風の進路を「いつもの形」の記憶で読まないこと。 予報円と、その進路になる理由の説明のほうを見てください。過去の経験則が効かない配置は、実際に起こります。
千葉豪雨は、3つの条件が重なった場所で起きた
そして8月13日です。検討会は、千葉豪雨の要因となった環境場として、3つの条件を挙げています。
1つ目は、千島の東に中心を持つ高気圧と、日本の南海上のモンスーンジャイアとの間で気圧傾度が大きくなり、下層の暖かく湿った空気が東から関東地方へ流入したこと。2つ目は、房総半島の南に小低気圧があり、その循環に伴って、この暖湿気の流入が関東付近で強化されたこと。3つ目は、上層に強い寒気があり、下層の暖湿気の影響も加わって、関東地方では大気の状態が非常に不安定になっていたことです。

注目したいのは、水蒸気が東から入ったという点です。関東の大雨というと南からの湿った空気を思い浮かべがちですが、今回は千島の東の高気圧と南海上のモンスーンジャイアという、離れた2つの存在に挟まれてできた気圧の傾きが、東から水蒸気を送り込む通り道をつくりました。冒頭の模式図で、日本の東から関東へ向かって太い赤い矢印が伸びているのがこれです。
では、その水蒸気はどこで雨に変わったのか。ここからが千葉豪雨の核心です。

関東内陸部では、日中の対流活動に伴う降水によって冷気層が形成され、広がっていきました。雨が降ると、蒸発で空気が冷やされて重くなり、地表付近にたまります。その冷たい空気のかたまりの東端で、東から流入する暖かく湿った空気とのあいだに、しだいにシアーラインが形成されました。豪雨をもたらしたメソ対流システムは、このシアーライン上で形成されたとされています。
冷たい空気のかたまりの縁は、暖かい空気にとっては壁です。ぶつかった空気は上へ持ち上げられます。そして、持ち上げの場所そのものがあまり動かないと、同じ場所で積乱雲が生まれ続けることになります。線状降水帯が同じ地域に居座る仕組みは、おおまかにはこれです。
さらに、シアーライン付近で発生した積乱雲は、局所的に高度15km以上まで発達し、多くの降水粒子を含んでいたことが確認されています。高く発達した雲ほど、たくさんの水を抱えて落とします。1時間115mmという降り方の背景には、この背の高さがありました。
24時間降水量367mmという数字の読み方
千葉の記録は、検討会の資料では24時間降水量367mm、1時間降水量115mmと書かれています。ここで、日降水量との違いに触れておきます。
日降水量は0時から24時までの合計、24時間降水量は任意の24時間の合計です。今回の大雨は13日の夕方から14日の未明にかけて降ったので、日付で切ると2日に分かれてしまいます。夜をまたいで降った雨は、24時間で切ったほうが実際の降りかたに近い数字になります。 同じ雨でも、どの窓で切るかで数字が変わるということです。
もう1点。当日の観測値は速報値です。後年の資料整理で値や順位が変わることはあります。この記事に書いた数値は、気象庁が2026年9月1日に公表した資料に記載されたもので、私が確認したのは2026年9月2日です。
予測できたことと、できなかったこと
検討会の資料には、予測の話も入っています。私が最も注目したのはここでした。

図17は、観測された降水と、局地モデルによる予測を並べたものです。資料の説明によれば、モデルは関東内陸での大雨の持続を予測していました。
一方で、東京から千葉にかけての下層の冷気域や、それに関連する風の収束を予測できなかったため、千葉県での線状降水帯を予測できませんでした。予測精度の向上が課題である、と結ばれています。
外れたのは「大雨が降ること」ではなく、「どこで降るか」です。ここは、前の章の仕組みとつながっています。冷気層は雨が降った結果としてできるものなので、雨の降り方がわずかにずれると冷気層の位置がずれ、シアーラインの位置がずれ、その上にできる線状降水帯の位置がずれます。数十キロのずれが、当たりと外れを分けます。
このことから、読者の側で持ち帰れる読み方が3つあります。
1つ目。予測の絵に描かれていない場所を、雨が降らない場所と読み替えないこと。 気象庁は降水ナウキャストについて、現在の降水域の移動や発達・衰弱の傾向をもとに、いま見えている雨域を先へ動かす考え方が基本であり、新たに発生する降水域を予測に反映するのは難しいと説明しています。数値モデルでも、位置のずれは起こります。
2つ目。予測から外れていることは、危険度が下がる材料にはなりますが、無くなる材料にはなりません。 実際、今回外れたのは位置であって、大雨が降るという見通しそのものではありませんでした。予測の中心から外れた場所にいるときこそ、実況の確認を続ける意味があります。
3つ目。だからこそ、予測ではなく実況で判断を切り替える場面があるということです。風上側で新しい雨雲が次々と生まれ続けているかどうかは、過去30分から1時間ほどの実況をさかのぼれば誰でも見られます。予測の画面に何も描かれていないことより、いま生まれ続けている雲のほうが重い情報になる局面があります。
この分析を、次の大雨と次の暑さでどう使うか
検討会の結果は過去の分析ですが、そこから引き出せる行動はいくつもあります。大雨と暑さに分けて整理します。
大雨のとき
- 予測の絵に描かれていない場所を、危険がない場所と読み替えない。位置のずれは実際に起こります
- 実況をさかのぼって見る。風上側で新しい雨雲が生まれ続けているなら、コマ送りの予測より実況を重く見ます
- いま出ている警戒レベルを上限だと思わない。レベル3や4であることは、この先もその範囲で収まるという意味ではありません
- 移動する予定があるなら、経路と滞在先のハザードを、雨が強まる前に確認する。国土地理院の重ねるハザードマップで、通る道のどこが低いかをなぞっておきます
- 冠水した道路へ入らない。水の深さは見た目では分かりません。前の車が通れたことは、自分の車が通れる根拠になりません
- 雨がやんだ直後も、平常運転に戻さない。故障車、土砂、深さの分からない水たまりが残ります
暑さのとき
40℃以上に名前が付いたことは、そのまま行動の基準にできます。35℃と40℃では体にかかる負担が違い、日陰や送風でしのげる範囲も違います。予想最高気温が40℃に近い日は、予定そのものを組み替える判断を先に置いてください。
そのうえで、気温が下がる予想だからといって負担が無くなるわけではありません。湿度が高ければ汗は蒸発しにくく、同じ気温でも体の熱は逃げにくくなります。 夜間の気温が下がりきらない日、屋内で風が通らない場所も同じです。気温の数字だけで見送りの判断をせず、暑さ指数(WBGT)と湿度、そして自分と一緒にいる人の状態を合わせて見てください。
もう1つ、この夏が示したのは、少雨と豪雨は同じ夏に同居するということです。西日本で記録的に雨が少なかった一方、関東では記録を更新する大雨が降りました。片方の備えだけを済ませて、もう片方を済ませたことにはなりません。
見ておきたい公式情報
- 気象庁 キキクル(危険度分布)
- 気象庁 雨雲の動き(降水ナウキャスト)
- 気象庁 警報・注意報
- 環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数・熱中症警戒アラート)
- 国土交通省 川の防災情報
- 国土地理院 重ねるハザードマップ
- 日本道路交通情報センター
- お住まいの自治体の避難情報とハザードマップ
おわりに
あらためて、8月13日からの大雨で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。地盤が緩んだ場所では、少しの雨でも災害が起きることがあります。暑さもまだ続きます。復旧作業にあたっている方も、どうか無理をなさらないでください。
今回の検討会の結果を読んで、私がいちばん重く受け止めたのは、モデルが千葉県の線状降水帯を予測できなかったという1行でした。技術は進んでいます。それでも、どこで降るかを事前に絞りきれない現象は残っています。予測が当たることを前提に組み立てた行動計画は、外れたときに逃げ場がなくなります。
だから、いま手を動かせることを1つだけ挙げます。よく通る道と、家族が出かける先の経路について、どこが低くて冠水しやすいかを、重ねるハザードマップで確認してみてください。 大雨のさなかに調べるのと、いま調べておくのとでは、選べる手の数が違います。
参考資料
- 気象庁「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」(2026年9月1日発表)
- 同 報道発表資料(PDF)
- 同 別添資料(図1から図17・PDF)
- 気象庁「異常気象分析検討会」
- 気象庁「年・季節・各月の天候」
- 気象庁「最高気温40℃以上の日の名称の決定について」(2026年4月17日発表・PDF)
- 気象庁「降水ナウキャスト、降水短時間予報」
- 気象庁「気象庁ホームページのコンテンツの利用について」
本文中の図は、気象庁の報道発表および別添資料から引用しています(出典:気象庁)。数値は2026年9月2日に確認したものです。当日の観測値は速報値であり、今後の資料整理で変わることがあります。実際に行動するときは、気象庁、自治体、消防、警察などの最新の公式発表を必ずご確認ください。

