東京では、8月27日から9月30日まで35日続けて降水が観測されました。関東甲信地方の9月は、日照時間が平年の44%、降水量が平年の259%。どちらも1946年の統計開始以来1位です。
9月が終わり、月の値が出そろいました。この記事では、何がどの範囲で記録だったのかを確定値で整理したうえで、10月1日14時30分に発表された最新の1か月予報と、9月18日14時発表の3か月予報から、これから何を確認すればよいかをまとめます。
先に結論を書きます。10月は、雨が減り日照が戻る側の予報です。ただし「雨が減る」と「災害の心配がなくなる」は別のことです。10月は平年でも台風が1.7個接近する月で、11月以降は降水量が再び「平年並みか多い」側の見通しに戻ります。長く雨が続いた地域では、次のまとまった雨に備えて、いま確認しておけることがあります。
9月に確定した記録|東日本と東海が、地方の平均で1位になった
9月の長雨は、特定の観測地点がとがったのではなく、地方の平均そのものが記録を更新しました。まずその範囲を押さえます。
日照と降水が、同時に1位という形
気象庁は全国を地方ごとに区切った平均値を1946年から統計しています。その80年分のなかで、2026年9月の関東甲信地方は、日照時間の平年比が44%で少ないほうから1位、降水量の平年比が259%で多いほうから1位でした。日照の44%は1988年9月と並ぶ値です。降水量の259%は、2位の1982年9月が192%ですから、67ポイント差をつけています。

記録が出たのは関東甲信だけではありません。次の表は、地方ごとの9月の値を、日照・降水・気温の3つで並べたものです。自分の住む地方が、どちら側に振れていたかを確認してください。
| 地方 | 日照時間の平年比 | 降水量の平年比 | 平均気温の平年差 |
|---|---|---|---|
| 北海道地方 | 114% | 52% | +0.5℃ |
| 東北北部 | 94% | 112% | +0.4℃ |
| 東北南部 | 63% | 157% | +0.2℃ |
| 関東甲信地方 | 44% | 259% | 0.0℃ |
| 北陸地方 | 73% | 126% | +0.6℃ |
| 東海地方 | 49% | 202% | +0.2℃ |
| 近畿地方 | 63% | 156% | +0.5℃ |
| 中国地方 | 73% | 114% | +0.8℃ |
| 四国地方 | 66% | 127% | +0.6℃ |
| 九州北部 | 76% | 94% | +1.1℃ |
| 九州南部 | 91% | 139% | +1.0℃ |
| 沖縄地方 | 108% | 75% | +0.3℃ |
日照時間がもっとも少なかったのは関東甲信の44%、次いで東海の49%、東北南部と近畿の63%です。降水量がもっとも多かったのも関東甲信の259%で、東海202%、東北南部157%、近畿156%と続きます。暗くて雨が多かった地方ほど、気温は平年に近いという並びになりました。雲が多く日射が遮られた分、日中の気温が上がらなかったためです。
東海地方も、日照時間49%・降水量202%がともに1946年以降で1位でした。より広くとった東日本(関東甲信・北陸・東海をまとめた区分)では日照52%・降水214%、そのうち太平洋側だけを見ると日照46%・降水236%で、こちらもいずれも1位です。地方の平均で日照と降水の両方が同時に1位になるのは、記録としてかなり珍しい形です。

分布図で見ると、北海道だけが逆だった
地方の平均を地図で確かめます。次の図は、9月1日から30日までの30日間で見た日照時間の平年比です。色が濃い青ほど日照が少なかった地点を示します。

関東南部から東海にかけて、平年の40%を下回る地点が帯のように並んでいます。同じ期間の降水量を見ると、その帯と重なる位置に平年の300%を超える地点が集まっていました。雨雲が同じ場所に居座り続けた、ということです。

気温も見ておきます。関東南部から伊豆諸島にかけてだけが平年より低く、西日本は平年より1〜2℃高い。同じ月のなかで、東と西がきれいに割れました。

3枚を並べると、北海道だけがまったく逆だったことも分かります。北海道地方の9月は降水量が平年の52%、日照時間が114%。本州が暗くて雨だった1か月、北海道は晴れて乾いていました。「今年の9月は雨ばかりだった」という感覚は、住んでいる地方によってまったく違います。全国向けの話としてまとめるときは、ここを混ぜないほうが正確です。
今年のほかの月と比べても、9月だけが落ち込んでいる
もうひとつ、今年のなかでの位置づけを見ます。次の表は、2026年の月ごとの日照時間の平年比を地方別に並べたものです。横に読むと、その地方の1年の推移が分かります。

3月から8月までは、どの地方もおおむね80〜150%の範囲におさまっています。関東甲信で言えば3月105%、5月123%、7月116%、8月93%。ところが9月だけが44%で、前の月から一気に半分以下へ落ちました。今年は「ずっと暗い年」だったのではなく、9月だけが突然落ち込んだ年です。
東京の9月|152年で最も多い雨と、35日続いた降水
地方の平均を、東京の1地点に絞ります。東京の9月は、4つの記録が同時に出ました。次の表は、確定した観測値と、その記録がどの統計期間のなかでの順位かをまとめたものです。統計開始年が項目ごとに違う点に注意してください。
| 項目 | 2026年9月の値 | 平年値 | 観測史上の位置 |
|---|---|---|---|
| 月の降水量 | 696.5mm | 224.9mm | 1位(1875年以降・152年) |
| 月の日照時間 | 45.8時間 | 126.7時間 | 少ないほうから2位(1890年以降) |
| 日照が0.0時間だった日数 | 15日 | — | 最多(1961年以降) |
| 連続して降水を観測した日数 | 35日 | — | 最長(1886年以降) |
| 月の平均気温 | 22.7℃ | 23.3℃ | 低いほうから71位(1875年以降) |
降水量の696.5mmは平年の310%で、これまでの記録だった1958年9月の670.9mmを25.6mm上回りました。日照時間の45.8時間は平年の36%で、1988年9月の39.2時間に次ぐ2位です。平年の1日あたりの日照が4.2時間ですから、30日間で日が差したのは平年の11日分しかなかった計算になります。
日照が0.0時間だった日は15日で、30日のちょうど半分。日別の統計がある1961年以降でもっとも多く、これまでの最多だった1988年9月の13日を2日上回りました。なお、日照ゼロ日数と連続降水日数は気象庁が順位表として公表している項目ではなく、気象庁の日別値をもとにした独自集計です。
30日すべてに数字が並び、「–」が1つもない
連続降水の中身を、元の表で確かめます。気象庁の日ごとの値のページでは、降水がなかった日は「–」と表示されます。

降水量の欄を上から下までたどっても、「–」が1日もありません。9月6日の96.5mm、7日の72.5mm、20日の103.5mm、21日の156.0mm、29日の46.0mmといったまとまった雨の合間に、0.0mmの日が8日はさまっています。
ここは誤読しやすいところです。表の「0.0」は、雨が降らなかったという意味ではありません。気象庁のよくある質問によると、気象台などでは「降水はあったが0.5mmに達しなかった」日を0.0mm、「降水がなかった」日を「–」として区別しています。一方、全国約1,300か所のアメダスは降水の有無そのものを観測していないため、この区別がありません。つまり35日連続という記録は、毎日しっかり降り続いた記録ではなく、毎日どこかの時間に降水を捉えた記録で、気象台だからこそ数えられる種類の記録です。
連続の起点は8月にさかのぼります。

8月24日から26日までの3日間は「–」、つまり降水なしでした。記録が始まったのは27日で、この日は5.0mmです。そこから9月30日まで、1日も欠けずに35日。東京でこれより長く続いたのは、統計の比較ができる1886年以降で例がありません。これまでの最長は2019年6月27日から7月29日までの33日、次いで1954年の32日で、どちらも梅雨の時期でした。秋にこの長さになったのは初めてです。
気象庁の順位表にも、もう反映されている
月の降水量と日照時間の順位は、気象庁が公表している観測史上1位から10位の表で直接確認できます。

月降水量の多いほうの1位に「696.5(2026/9)」、月間日照時間の少ないほうの2位に「45.8(2026/9)」が入っています。同じ表の月最大24時間降水量では、台風第25号が接近した9月21日の225.0mmが4位に入りました。
この記録は東京だけのものではありません。9月の降水量が観測史上1位になった気象台は全国で12地点あり、大島の1933.0mm、三宅島の1292.5mm、館山の1092.0mm、勝浦の1010.5mmと、東京より大きく記録を更新した地点が並びます。館山はこれまでの記録だった1982年9月の509.5mmの2.1倍、千葉も2015年9月の403.5mmの1.9倍です。東京の696.5mmは記録を25.6mm上回っただけで、12地点のなかではもっとも小さな更新幅でした。報道で目にする東京の数字は、今回の長雨のなかではむしろ控えめなほうだということになります。
連続降水が、防災のうえでもつ意味
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
1日あたりの雨量が小さくても、雨が長く続くことには固有の意味があります。気象庁は、降った雨が土壌中にどれだけ溜まっているかを数値化した「土壌雨量指数」を監視しており、土砂キキクルはこの指数と60分雨量の組み合わせから、土砂災害の危険度を5段階で色分けして表示しています。指数はタンクモデルという方式で計算され、過去に降った雨の蓄積を引きずる仕組みになっています。
ここからは、気象予報士としての解釈です。雨の降らない日が続けば指数は下がっていきますが、降水のある日が途切れずに続くと、下がりきらないうちに次の雨を迎えることになります。同じ50mmの雨でも、乾いた地盤に降るのと、1か月雨が続いたあとの地盤に降るのとでは、危険度の高まり方が違ってきます。9月の東日本太平洋側は、この「下がりきらない」状態が長く続きやすい降り方でした。
ただし、いまお住まいの場所の土壌がどういう状態かは、この記事では判断できません。実際の危険度は、気象庁のキキクル(危険度分布)でその時点の色を確認してください。過去1か月の統計は、今日の危険度の代わりにはなりません。
東京の連続降水がどれほど珍しいかは、31日目にあたる9月26日時点で、全国・世界の記録と比べて別記事にまとめています。千葉市で8月11日から9月24日までの45日間に平年の約4.5倍の雨が降った件も、個別のレポートがあります。
「観測史上1位」を読むときに確認する3点
9月は「観測史上1位」という言葉を何度も目にした月でした。この種の数字を受け取るときに、自分で確認できる点を3つ整理しておきます。防災情報を読むうえで、そのまま使える見方です。
1. 統計開始年を見る
順位は、統計を始めた年からの順位です。東京の月降水量は1875年から、月間日照時間は1890年から、日最大1時間降水量は1886年から。項目ごとに開始年が違うので、「152年で1位」と「30年で1位」はまったく重みが違います。
アメダスの日照時間は特に注意が必要です。観測方式の変更にともない統計を取り直しているため、多くの地点で統計期間が2021年からになっています。アメダスの日照時間について「観測史上」と書かれていたら、何年からの統計かを必ず確認してください。この記事で日照の記録を扱っている範囲を全国の気象台など158地点に限っているのは、この理由からです。
2. 観測地点が動いていないかを見る
東京の観測地点は、2014年12月に大手町から北の丸公園へ移っています。気象庁が移転の前後2年間に同時観測をして出した差は、年平均気温で0.9℃、日最低気温では1.4℃。北の丸公園のほうが低く出ます。そして気象庁は、平年値には補正を入れる一方、観測史上の順位には補正を入れず、実測値のまま並べています。
このため、東京の気温を長期で比べるときは、2014年までと2015年以降が別の場所の値だという前提が要ります。9月の終わりには「東京の9月の平均気温は過去30年で4番目に低い」という形の情報が広がりましたが、同じ場所どうしで比べられるのは2015年以降の12年です。そこで並べ直すと2021年の22.3℃、2015年の22.6℃、2026年の22.7℃、2017年の22.8℃という順で、12年のなかで低いほうから3番目になります。数字そのものは正しくても、比較の土俵が途中で変わっていることは押さえておきたいところです。
3. 月の平均は、月のなかの振れをならす
月の平均値だけを見ていると、期間内の変化が見えなくなります。次の図は、地域平均気温の平年差を5日移動平均で示したものです。線が0より上なら平年より高く、下なら低いことを表します。

東日本の線を追うと、9月上旬は平年を1℃前後下回り、中旬に平年前後まで戻り、下旬には1℃以上のプラスまで上がっています。月の平均は0.0℃でしたが、月のなかでは上下に振れていたわけです。熱中症や寒暖差への備えは、月の平均ではなくこの振れ方のほうに対応します。
10月の1か月予報|雨は減り、日照は戻る側
ここからは見通しです。10月1日14時30分に気象庁が発表した1か月予報を見ていきます。対象期間は10月3日から11月2日まで。以下の数値はすべて、低い(少ない)・平年並・高い(多い)の3階級に分けた確率で、合計が100%になります。
日照は「多い」、降水量は「少ない」
9月に失われた側から見ます。日照時間です。

近畿・中国・四国・九州北部・九州南部・奄美・沖縄が10:30:60で「多い」が60%、関東甲信と東海が20:30:50で50%、北海道・東北・北陸が20:40:40です。9月に日照44%・49%と記録を作った関東甲信と東海が、今度は「多い」側に寄っています。
降水量も同じ向きです。

近畿太平洋側・四国・九州南部・奄美・沖縄が50:30:20で「少ない」が50%、関東甲信・東海・近畿日本海側・中国・九州北部が40:40:20、北陸が40:30:30、東北が30:40:30、北海道が30:30:40です。関東甲信は「少ない」40%に対して「多い」20%。9月に平年の259%を記録した地方が、10月は逆側を向きました。北海道だけが「多い」40%で、9月に晴れて乾いていた地方が逆に雨側へ寄る形です。
気温は「高い」側だが、上がるのは後半
気温の見通しです。

北海道・東北・東海・近畿・中国・四国・九州北部が10:30:60、北陸・関東甲信・九州南部が10:40:50、沖縄が20:30:50、奄美が20:40:40。全国で「高い」が50〜60%、「低い」はほぼ10%で、はっきりした高温寄りの見通しです。
ただし、1か月をならした数字だけを見ると判断を誤ります。週ごとに分けると、前半と後半で顔が違うからです。

第1週(10月3日〜9日)は、北海道と東北だけが10:30:60で、本州から九州までは20:40:40。最初の1週間は、平年並みから少し高い程度にとどまります。

第2週(10月10日〜16日)になると、東海から九州までが10:30:60へ上がり、東北・北陸・関東甲信も20:30:50。西から高温側へ切り替わっていきます。

第3〜4週(10月17日〜30日)は、北海道から九州北部までのすべてが10:30:60。10月後半は、全国そろって高温側という見通しになります。衣替えや暖房の支度を急ぐ必要はなさそうですが、そのぶん秋の深まりは遅れます。
2週間気温予報で見る、10月前半
もう少し手前の、日ごとの見通しも押さえます。2週間気温予報は毎日更新され、1週目は日別、2週目は5日間平均の形で示されます。

東京の最高気温は、10月2日が22℃と平年より低いものの、3日から5日は23〜24℃、6日は26℃まで上がる予想です。2週目にあたる8日から12日は5日間平均で最高24〜25℃・最低16〜17℃となっていて、平年より1〜2℃高い側で推移する見通しになっています。朝晩の最低気温が16〜17℃という水準は、暖房を入れるほどではないものの、日中との差が8℃前後つく日が続くということでもあります。
それでも10月は、台風が接近する月
ここが「雨が減る予報」といちばん混同されやすい点です。1か月予報は、1か月を通した降水量の合計が平年と比べてどちら側に寄りやすいかを示すもので、個々の荒天の有無を示すものではありません。
次の表は、気象庁が公表している台風の平年値(1991年〜2020年の平均)です。10月と11月の行を見てください。
| 月 | 発生数 | 日本への接近数 | 日本への上陸数 |
|---|---|---|---|
| 8月 | 5.7 | 3.3 | 0.9 |
| 9月 | 5.0 | 3.3 | 1.0 |
| 10月 | 3.4 | 1.7 | 0.3 |
| 11月 | 2.2 | 0.5 | — |
| 12月 | 1.0 | 0.1 | — |
10月は平年でも3.4個が発生し、1.7個が日本へ接近します。11月でも接近数は0.5個あります。2026年9月には第25号と第26号が接近し、大きな影響が出ました。月の合計雨量が少ない見通しであることと、台風や前線によるまとまった雨が1回も来ないことは、まったく別の話です。1か月予報は「乾いた日が増えやすい」という読み方にとどめ、個々の荒天は週間予報と警報・注意報で確認してください。
11月から冬へ|雨は再び「平年並みか多い」側に戻る
9月18日14時に発表された3か月予報も見ておきます。対象は10月から12月です。10月は前の章で詳しく見たので、ここでは3か月のまとめと、11月・12月・冬を取り上げます。
3か月をまとめると、全国で「高い」
まず10月から12月をまとめた見通しです。平均気温は、北日本から九州北部まで10:40:50で、すべての地方で「高い」が50%。九州南部・奄美・沖縄は20:30:50で、こちらも「高い」が50%です。

降水量は、北日本日本海側・北陸・奄美・沖縄が30:30:40、それ以外の地方が20:40:40です。「多い」に少し寄っているものの、全体としてはほぼ平年並みという見通しになります。10月だけを切り出した1か月予報が「少ない」側を向いていることと合わせて読むと、3か月をまとめた「やや多い」は主に11月と12月の寄与と考えられます。

11月|気温は高いが、雨は平年並みに落ち着く
11月の平均気温は、北日本から九州南部まで20:30:50で「高い」が50%、奄美と沖縄は20:40:40です。

降水量は、関東甲信・東海・近畿・中国・四国・九州・東北太平洋側・北海道太平洋側が20:40:40、北陸・東北日本海側・北海道日本海側とオホーツク海側が30:30:40、奄美・沖縄が30:40:30です。

8月25日発表の3か月予報でも、11月の降水量は北日本太平洋側・東日本太平洋側・西日本で「平年並か多い」とされていました。11月に雨が多めという見通しは、1か月前の発表から変わっていません。3か月予報は毎月更新され、対象期間も1か月ずつ後ろへずれていきますが、11月については2回続けて同じ方向を向いたことになります。10月に雨が減っても、11月にまた戻る前提で考えておくのが安全です。
12月|西日本の太平洋側で「多い」が50%へ
12月の平均気温は、東北から九州北部までが20:30:50、北海道が20:40:40、九州南部が20:40:40、奄美・沖縄が10:40:50です。

降水量は、12月だけ書きぶりが変わります。九州北部・九州南部・四国・山陽・近畿太平洋側・奄美・沖縄が20:30:50で「多い」が50%、関東甲信・東海・近畿日本海側・山陰・東北太平洋側・北海道太平洋側が20:40:40、北陸・東北日本海側・北海道の日本海側とオホーツク海側が30:30:40です。

太平洋側で冬の降水量が多くなりやすいのは、エルニーニョ現象が続いている年の特徴と重なります。冬型の気圧配置が決まりにくく、低気圧が本州の南岸を通りやすくなるためです。
冬(12月から2月)|暖冬の見通しだが、備えを緩める話ではない
同じ9月18日には、冬(12月から2月)の予報もあわせて発表されています。

冬の平均気温は、北陸から九州北部までが10:30:60で「高い」が60%、奄美・沖縄は10:20:70で70%。東北は20:30:50、北海道は20:40:40です。

降水量は、関東甲信・東海・近畿太平洋側・山陽・四国・九州・奄美・沖縄・東北太平洋側で「多い」が50%です。
この2枚を重ねると、冬の構えが見えてきます。気温は高い側、太平洋側の降水は多い側。気温が高いということは、太平洋側に降る水分の多くが雨になるということですが、同時に、南岸低気圧が通るたびに「雨か雪か」の判断が難しい状況が生まれやすいということでもあります。関東の平野部の雪は、もともと気温1〜2℃の違いで結果が変わります。暖冬の見通しは、雪の備えを外してよい理由にはなりません。
冬の道路状況を日別に確認したい場合は、自作の公開ツール「冬道そなえナビ」で、冬季の日別1km気温・積雪と道路を地図上で見ることができます。
背景|エルニーニョと、弱い偏西風・季節風
なぜ秋から冬にかけて高温が続く予想なのか。気象庁が3か月予報とあわせて公表している解説資料に、その根拠が示されています。

資料の要点は4つです。
- エルニーニョ現象が冬にかけて続く見込みで、海面水温は太平洋赤道域の東部から中部とインド洋西部で高く、積乱雲の発生もこれらの海域で多い。一方、フィリピン付近では積乱雲の発生が少ない
- このため、上空の偏西風はユーラシア大陸を中心に平年より南を流れやすく、日本付近ではやや南を流れ、弱い
- 地球温暖化やエルニーニョ現象の影響で、熱帯域を中心に大気全体の温度が高い。日本付近も暖かい空気に覆われやすく、期間の後半は季節風が弱く、寒気の影響は小さい
- フィリピン付近は高気圧となりやすい。期間の後半になると日本付近に南からの暖かく湿った空気が流れ込みやすく、北・東日本太平洋側と西日本を中心に低気圧の影響を受けやすい
4つ目が、太平洋側で降水量が多い側になる根拠です。暖かく湿った空気が入りやすい状態は、低気圧が通ったときの雨量が増えやすい状態でもあります。
偏西風については、ひとつ注意が要ります。一般に「偏西風が南下すると気温が低くなりやすい」といわれますが、これは偏西風の南下にともなって北から寒気が流れ込みやすくなる場合の話です。今回は偏西風が南寄りでも寒気の南下が強いわけではなく、背景となる大気自体が暖かい。気温場全体が高温側に底上げされたなかで、偏西風の位置だけがやや南にずれている、というイメージになります。「偏西風が南下=寒い」と機械的に読み替えると、逆の結論になります。
エルニーニョは、観測史上級のまま冬へ向かう
エルニーニョ現象そのものの状況も更新されています。9月9日発表のエルニーニョ監視速報によると、2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみられ、8月の監視海域の海面水温は基準値より3.4℃高い値でした。これは8月として1949年以降でもっとも大きい値です。今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く確率は100%とされ、基準値との差は最盛期に1997年12月の+3.6℃に匹敵する見込みとされています。
あわせて、西太平洋熱帯域の海面水温は8月は基準値より低く、冬にかけても低い値で推移すると予測されています。インド洋熱帯域は8月は基準値に近い値で、冬にかけて基準値より高い値で推移する見込みです。
ここで押さえておきたいのは、エルニーニョ現象そのものが日本を暑くするわけではないということです。エルニーニョが直接高めるのは熱帯太平洋の中部から東部の海面水温と、その上の大気です。日本の夏に対しては、統計的にはむしろ冷夏側に働きます。日本付近の高温の要因として残るのは、地球温暖化による底上げのほうです。エルニーニョが日本に効くのは、気温よりも気圧配置と低気圧の通り道を通じた経路だと考えるのが実態に近くなります。
季節予報をどう使うか|9月の外れ方から
最後に、季節予報の使い方そのものについて書きます。9月は、季節予報の限界がはっきり出た月でもありました。
8月末の時点で発表されていた見通しでは、東日本は高温側、西日本は雨が少なめ・日照が多めという方向でした。8月31日には高温の早期天候情報も発表されています。ところが実際には、東日本の9月は記録的な寡照と多雨になり、西日本も近畿の降水量が平年の156%、日照時間が63%と、逆方向へ振れました。
10月1日、気象庁は9月の記録的な多雨・日照不足と今後の見通しを報道発表しました。

気象庁によると、9月は日本の東海上で偏西風が平年よりかなり強く、本州付近では上昇気流が生じやすい状態でした。東の優勢な高気圧と大陸からの秋の高気圧の間で秋雨前線が本州付近に長く停滞し、南から暖かく湿った空気が流れ込み続けて前線の活動が非常に活発になったことが、記録的な多雨・日照不足の要因と気象庁が報道発表しました。台風第25号も高気圧の縁に沿って関東の南海上を北東へ進みました。

ここからは気象予報士としての解釈です。外れたのは気温の計算そのものではなく、前線がどこに位置するかの予測だったと考えています。もともと予想されていたのは秋雨前線が北上する流れでしたが、実際には前線が北上せず、本州の南岸付近に留まりました。その結果、関東や東海は前線の北側に入り続け、北東から冷たく湿った空気が流れ込んで、低い雲が1か月近く居座ることになりました。
梅雨前線や秋雨前線の季節は、前線のどちら側にいるかで気温も雨も日照もそっくり入れ替わります。数十kmから100kmのずれが、結果を正反対にする。これが、秋の季節予報がもっとも難しい理由です。
だから季節予報は、「そうなる」ではなく「そちらに寄りやすい」と読むのが実用的だと考えています。確率で示されているのは、予報が頼りないからではなく、前線の位置のようにわずかなずれで結果がひっくり返る要素を数字へ落としているからです。そして、確率で示される情報は更新されます。次の更新のタイミングは押さえておいてください。
| 情報 | 更新のタイミング | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 2週間気温予報 | 毎日 | 1〜2週間先の気温の傾向 |
| 1か月予報 | 毎週木曜14時30分 | 1か月の気温・降水量・日照時間の傾向 |
| 3か月予報 | 毎月 | 季節単位の構え |
| 早期天候情報 | 著しい高温・低温・大雪が予想されるとき | 6日先から14日先の備え |
| 警報・注意報、キキクル | 随時 | その日・その時間の身の安全 |
この記事で扱った1か月予報と3か月予報は、いちばん上と下の行の情報とは役割が違います。季節予報は構えを決めるための情報で、身の安全を決めるための情報ではありません。
まとめ|いま確認すること、次に見る公式情報
2026年9月の確定記録と、10月以降の見通しを整理します。
- 9月の記録|関東甲信は日照時間が平年の44%、降水量が259%で、いずれも1946年以降で1位。東海も日照49%・降水202%で1位。北海道だけは降水52%・日照114%で逆だった
- 東京の9月|降水量696.5mmは1875年以降で1位、日照時間45.8時間は1890年以降で2位。日照ゼロの日15日と連続降水35日は、日別値をもとにした独自集計で、それぞれ1961年以降・1886年以降で最多・最長
- 10月の見通し|降水量は東日本・西日本で「少ない」40〜50%、日照時間は西日本で「多い」60%・関東甲信と東海で50%。気温は全国で「高い」50〜60%だが、上がるのは後半
- 11月以降|11月の降水量は2回続けて「平年並か多い」。12月は西日本太平洋側で「多い」が50%。冬(12月〜2月)は気温「高い」60%・太平洋側の降水「多い」50%
- 背景|エルニーニョ現象は冬にかけて続く確率100%。偏西風は日本付近でやや南を流れ、弱い。季節風も弱く寒気の影響は小さい
そのうえで、確認することを時間の順に並べます。
今日から次の24時間
- 雨が予想されている地域では、キキクル(危険度分布)でその時点の色を確認する。過去1か月の統計は、今日の危険度の代わりになりません
- お住まいの自治体の避難情報と警戒レベルを優先する。気象情報より、自治体の指示が先です
10月のうちに
- 雨が減る見通しの10月は、屋外の点検に向く時期です。側溝、雨どい、排水口に流入物が溜まっていないかを確認しておくと、11月以降の雨に備えられます
- 長雨のあとは、斜面や擁壁に新しい亀裂、湧水、傾きがないかを見ておく。異変があれば自治体の担当窓口へ相談してください
- 自宅や通勤経路が周囲より低い地形かどうかは、自作の公開ツール 周囲より低い地形チェッカー で地図上から確認できます。ただし、これは地形の高低を示すもので、浸水の深さや危険度を示すものではありません。実際の想定は自治体のハザードマップを確認してください
冬に向けて
- 太平洋側の降水が多い側の見通しなので、暖冬でも南岸低気圧への備えは残しておく。関東平野部の雨か雪かは、気温1〜2℃の違いで変わります
- 道路状況の確認には 冬道そなえナビ を使えます
次に見る公式情報
- 1か月予報の次回発表は10月8日14時30分(毎週木曜更新)。この記事の第3〜4週の部分は、今後の更新で変わる可能性があります
- 気象庁「2026年9月の天候」と10月1日の報道発表で、9月の総括と多雨・日照不足の要因を確認できます
この記事の予報は2026年10月1日時点のものです。発表から時間が経つほど実況とずれていきますので、判断の前に最新の発表を確認してください。
参考資料
- 気象庁「過去の地域平均気象データ検索」
- 気象庁「地域ごとの観測史上1位〜10位の値」関東甲信地方・9月
- 気象庁「最新の気象データ 天候の状況」
- 気象庁「過去の気象データ検索」東京・2026年9月の日ごとの値
- 気象庁「観測史上1〜10位の値」東京・9月
- 気象庁「平年値」東京
- 気象庁「過去の気象データ検索 よくある質問」(降水量の0.0mmと「–」の違い)
- 気象庁「東京の露場移転について」(2014年11月・民間気象事業者向け講習会資料)
- 気象庁「季節予報」(1か月予報・3か月予報・寒候期予報)
- 気象庁「2週間気温予報」
- 気象庁「土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)」
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」
- 気象庁「エルニーニョ監視速報 No.408」(2026年9月9日発表)
- 気象庁「台風の平年値」
- 気象庁「9月の東日本太平洋側の記録的な多雨・日照不足と今後の見通しについて」(2026年10月1日)
日照ゼロ日数と連続降水日数は、気象庁の日別値をもとにした独自集計です。気象庁が順位表として公表している項目ではありません。この記事の観測値は速報値で、今後の精査により変更される場合があります。

