ハザードマップの「白い場所」にも、備える視点を。周囲より低い地形チェッカーの使い方【3D対応】

ハザードマップの白い場所にも備える視点と周囲より低い地形チェッカーの紹介画像 防災の知識

2026年8月の千葉豪雨で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。本記事は、当時の被害を振り返りながら、平時の地形確認を次の備えにつなげることを目的としています。

いつもの通勤路、子どもの通学路、旅行先で車を止める駐車場。普段は何も気にせず使っていても、「大雨になったとき、この場所に水が集まる可能性はないだろうか」と考えると、すぐには答えられない場所があるのではないでしょうか。

2026年8月の千葉豪雨の被害を調べる中で、私が気になったのは、ハザードマップの浸水想定区域の外でも、道路冠水や車両の水没が起きていたことでした。ウェザーニューズの分析にも、そうした被害報告がまとめられています。[2]

「身近な場所の、周囲との高低差をもっと見やすくできないだろうか」。その思いから、Bousai Wx Labの独自開発ツールとして、「周囲より低い地形チェッカー」を作りました。

この記事では、開発のきっかけとなった千葉豪雨を振り返りながら、実際の地図を見比べ、通勤・通学や旅先での備えにどうつなげられるかを紹介します。

2026年9月更新:3D表示とスマホの回転・傾き操作に対応しました。北印旛沼の空撮写真と地形を見比べる実例、PC・スマホでの操作手順を追記しています。新しい比較例と使い方を見る

周囲より低い地形チェッカーを開く

大雨で冠水したアンダーパス
  1. 千葉豪雨で考えた、「色が付いていない場所」への備え
    1. 被害報告は、浸水想定区域の中だけではなかった
    2. 「どれだけ降るか」と「どこに集まるか」を一緒に考える
  2. なぜ佐倉市上志津を見るのか――浸水想定区域外で起きた人的被害
    1. ハザードマップの「白い場所」で、命が失われた
    2. 同じように白く見える場所にも、高低差がある
  3. チェッカーの色が示すのは、「周囲との標高差」
    1. 海抜がある場所でも、周りより低いことはある
    2. 「周囲より5m低い」は、「5m浸水する」ではない
  4. 3Dで地形を見てみる――北印旛沼の浸水記録と比較【2026年9月更新】
    1. 空撮写真と3D地形を見比べる
    2. PC・スマホで、地形を動かしてみる
    3. 半径1kmと5kmで、比較する範囲を変える
  5. 地形の気づきを、ハザードマップと地域の情報で確かめる
    1. まず、どの災害を想定した地図なのかを確認する
    2. チェッカーで気づいた場所を、もうひとつの情報と照合する
  6. 通勤・通学、駐車場所、旅行・出張先での使い方
    1. 通勤・通学路は、「目的地」だけでなく「途中の道」を見る
    2. 駐車場所は、出入口と周囲の道路も確認する
    3. 旅行・出張先では、「初めての土地」を少しだけ知っておく
  7. 大雨が近づいたら、「通る道」だけでなく「動くかどうか」を考える
  8. 大雨の日の選択肢を、晴れているうちに増やしておく
  9. 参考資料

千葉豪雨で考えた、「色が付いていない場所」への備え

まず、被害報告と観測雨量を分けて確認し、着色外でも確認を続ける理由を整理します。

被害報告は、浸水想定区域の中だけではなかった

2026年8月13日からの千葉県の豪雨は、気象庁によって「令和8年8月千葉豪雨」と命名されました。[1]

ウェザーニューズが8月15日に公表した分析は、緊急アンケート10,009件と、13日14~24時に千葉県内から寄せられたウェザーリポート9,938件を用いています。そのうち、AIで被害を示すキーワードを含むと判定されたリポートでは、同社が「低位地帯または浸水想定区域外」と分類した報告が55.7%でした。[2]

これは、千葉県の被災者全員や、水没した車全体の55.7%という意味ではありません。寄せられたリポートについての分析値です。また、同じ分析では、浸水想定区域内でも実際に多くの被害が起きていたことが示されています。[2]

つまり、受け止めたいのは「ハザードマップは役に立たない」ということではなく、色が付いている場所への警戒を続けながら、白い場所でも確認を終わらせないということです。

「どれだけ降るか」と「どこに集まるか」を一緒に考える

今回の雨の強さは、観測値にも表れています。気象庁の資料では、次の2地点で1時間降水量の観測史上1位を更新しました。[3]

観測地点 最大1時間降水量 その1時間の終了時刻
千葉県千葉市中央区・千葉 115.0mm 2026年8月13日18時48分
千葉県佐倉市・佐倉 97.0mm 2026年8月13日19時31分

※それぞれの観測地点の値であり、市内のすべての場所で同じ雨量だったことを示すものではありません。

9月1日公表の気象庁の分析では、房総半島付近への暖かく湿った空気の流入と上空の強い寒気に加え、関東内陸部にできた冷たい空気との境界で、積乱雲が次々に発生・発達したことが説明されています。強い雨をもたらす条件が、重なっていました。[4]

一方、地上では、降った雨をどれだけ排水できるかが問題になります。佐倉市は、1時間当たり50mmの降雨に対応できる下水道施設の整備を進めていると説明しています。

ただし、これは市の整備目標であり、個々の場所で「50mmまでは安全」と判断できる数字ではありません。[7]

気象予報士として雨の強さや続き方を確認することに加えて、自分がいる場所の地形にも目を向ける。その両方が、身近な大雨への備えにつながると私は考えています。

なぜ佐倉市上志津を見るのか――浸水想定区域外で起きた人的被害

上志津周辺について、公的な被害報と現地報道の範囲を明示したうえで、2種類の地図を比較します。

ハザードマップの「白い場所」で、命が失われた

ツールを紹介するにあたり、私が地形を確かめたいと考えた場所のひとつが、千葉県佐倉市の上志津地区です。理由は、浸水想定区域外で人的被害が起きたと報じられているからです。[6]

千葉県が9月1日に発表した被害報の別紙には、8月13日、上志津の路上で男性が発見され、病院で死亡が確認されたことが記載されています。[5]

TBSの現地取材は、男性が発見された路上がハザードマップの浸水想定区域外だったと報じています。同じ地区では車が半分以上沈む冠水が起き、近隣住民からは、複数の坂に囲まれた谷底のような地形だったとの証言も紹介されています。[6]

浸水が想定されていなかった場所で、深刻な被害が起きた。では、周囲との高低差を見れば、平時から気づけることはないだろうか。

この疑問から、上志津を含む志津周辺を、ハザードマップと地形チェッカーで見比べてみました。

同じように白く見える場所にも、高低差がある

まず、下の画像は「重ねるハザードマップ」で、洪水浸水想定区域〈想定最大規模〉を表示したものです。志津駅周辺から南側にかけて、浸水想定の着色がない場所が広がっています。

志津周辺の洪水浸水想定区域(想定最大規模)の表示例
図1:志津周辺の洪水浸水想定区域〈想定最大規模〉。出典:国土交通省・国土地理院「重ねるハザードマップ」。2026年9月5日の表示画面。掲載図で表示しているのは洪水のレイヤーです。

続いて、地形チェッカーの画面です。半径500mの周囲平均と比べて、1m以上低い場所を着色しています。

志津周辺を半径500m・着色1m以上で表示した周囲より低い地形チェッカー
図2:「周囲より低い地形チェッカー」による志津周辺の表示。条件は半径500m・着色1m以上、画面上の格子間隔は約23m。国土地理院の地理院タイル・標高タイルを利用し、Bousai Wx Labが加工・表示。2026年9月5日の画面。

図2は、2026年9月5日に半径500m・着色1m以上で表示した画面です。現在の初期設定は半径1km・着色0.5m以上に変わっていますが、当時の比較条件が分かるよう、掲載図と数値はそのまま残しています。

見比べると、洪水の浸水想定が着色されていない場所にも、チェッカーでは青や紫の帯が現れています。 同じように白く見える住宅地や道路でも、周囲に対する高さは一様ではありません。

比較図について

2枚は表示範囲・縮尺が異なります。また、亡くなった方の発見地点を特定した図ではありません。今回確認したのは、上志津を含む志津周辺で、洪水浸水想定の着色がない場所にも周囲より低い地形が見られることです。被害地点と個々の着色格子の一致や、浸水予測の精度を検証したものではありません。

それでも、この違いには備えの手掛かりがあると思います。「この道は周りより低い。大雨のときは雨水が集まる可能性を考えて、過去の冠水記録や別の経路も調べておこう」。地図を見ることで、そんな具体的な確認へ進めるのではないでしょうか。

チェッカーの色が示すのは、「周囲との標高差」

色の意味と、色だけでは分からないことを分けて確認します。

海抜がある場所でも、周りより低いことはある

このツールは、各地点の標高を、その地点を中心とする指定半径の円の内側の平均標高と比べ、周囲より低い場所を色で表示します。見ているのは海抜だけではなく、周りの土地に対してどのくらい低いかです。

平均するのは円周上だけではなく、円の内側で有効な標高データがある範囲です。画面中央の円は比較範囲の目安で、実際にはそれぞれの地点を中心に計算しています。

例えば、標高20mの地点でも、比較する周囲の平均が25mなら、周囲平均より5m低いことになります。これは説明のための仮の例ですが、海に近い低地だけでなく、内陸の住宅地でも周囲との高低差に着目する意味が分かると思います。

地点を選ぶと、標高・周囲平均・標高差を確認できます。この例なら、凡例の「周囲より低い量」は5m、地点の「標高差」は20−25=−5mです。地図の凡例と地点の数値では、符号の表し方が異なります。

「周囲として比べる半径」は、平均を求める範囲の設定です。「色を付ける差」は、周囲より何m以上低い場所から着色するかを決めます。図2で使った半径500m・着色1m以上も、現在の初期設定である半径1km・着色0.5m以上も、表示の条件であって、災害が発生する境目ではありません。

「周囲より5m低い」は、「5m浸水する」ではない

ここは、ぜひ押さえておいてください。チェッカーの凡例にあるメートルの値は、浸水深ではありません。 また、周囲の平均より低いことだけで、水の出口がない窪地だと決まるわけでもありません。

実際に水がたまるかどうかは、雨の量や強さに加え、水の流れ道、地面への浸み込みやすさ、下水道や排水施設などにも左右されます。気象庁の浸水キキクルでも、地形や地面の性質、過去の浸水害の履歴などを考慮しています。[9]

このツールが見えるようにするのは、周囲との高低差という地形の特徴です。細い地下道や小さな段差、排水設備の状態などをすべて捉えるものではありません。画面の「格子約○m」は着色格子の間隔で、標高の測定精度を示す数字ではなく、表示倍率や比較範囲によっても変わります。

また、色が付かない理由には、標高差が着色下限に届かないことや、海・標高データの欠測などがあります。3Dでは解析範囲の外縁も薄く表示されるため、遠くの薄い色や無着色を含め、色が付かないことだけで安全とは判断できません。

色を見て結論を出すのではなく、「ここをもう少し確かめよう」と気づくために使う。 私は、その使い方に意味があると考えています。

3Dで地形を見てみる――北印旛沼の浸水記録と比較【2026年9月更新】

平面の地図で「周りより低い」と分かっても、隣の高い土地や斜面とのつながりまでは想像しにくいことがあります。3D表示では、色の付いた場所を地形の起伏と一緒に、向きや傾きを変えながら確認できるようになりました。

空撮写真と3D地形を見比べる

ここでは、2026年9月の台風25号で堤防決壊が起きた北印旛沼周辺を見てみます。8月の上志津周辺とは別の災害事例です。千葉県が公開した被災概要の空撮写真と、同じ地域を表示した地形チェッカーを見比べます。[14]

北印旛沼と国道464号周辺の浸水状況を写した空撮写真。原資料の赤丸で破堤箇所が示されている。
図3:北印旛沼周辺の浸水状況。出典:千葉県「北印旛沼の堤防決壊について」掲載資料「印旛沼周辺・佐倉市域被災概要」の写真⑤を引用。赤丸・地名等の注記は原資料による。

空撮では、国道464号の周辺に水が広がり、道路や農地の区画が水面の中に残る様子が見えます。次の3D画面でも、国道464号と沼岸の形を目印に、周辺の土地がどのように続いているかを見てください。

北印旛沼周辺を半径5km・着色0.5m以上で3D表示した周囲より低い地形チェッカー。周囲に対して低い場所の着色と地形の起伏を示す。
図4:「周囲より低い地形チェッカー」による北印旛沼周辺の3D表示。条件は半径5km・着色0.5m以上、画面上の格子間隔は約23m。国土地理院の地理院タイル・標高タイルを利用し、Bousai Wx Labが解析・表示。

3D画面では、沼の周辺に広がる低い平坦地と、その脇に張り出す高い地形を同時に見られます。空撮の浸水状況を単独で見るだけでなく、周囲との高低差という別の情報を重ねて考えられるのが、この使い方のポイントです。もともとの沼の水面の着色を、新たに浸水した土地と数えないよう、比較では周辺の陸地に注目してください。

この比較で確認するのは、浸水記録と地形の位置関係です。2枚は視点・表示範囲が異なり、浸水範囲と着色の一致率を検証したものではありません。チェッカーは破堤位置や水の流れを計算しておらず、色の数値も浸水深ではありません。

「沼の近くだった」で終わらず、周りの高い土地とのつながりや、普段使う道が通る地形まで見直す。そこからハザードマップや地域の浸水記録を確認する場所を絞っていく、という使い方ができます。

PC・スマホで、地形を動かしてみる

まず周囲より低い地形チェッカーを開き、地図を動かして見たい地域を表示します。現在地の自動取得や住所入力による検索はないため、地図の移動と拡大・縮小で場所を探します。右下の「3D」を押すと、地形を立体で見られます。[15]

操作 PC スマホ
場所を移動 通常の左ドラッグ 1本指でドラッグ
拡大・縮小 ホイール、+/− 2本指の間隔を広げる・狭める、+/−
向きを回す Ctrl+左ドラッグで左右へ動かす 2本指でひねる
傾きを変える Ctrl+左ドラッグで上下へ動かす 2本指をそろえて上下へ動かす
平面に戻す 「北向き2D」 「北向き2D」

向きが分からなくなったら、「北向き2D」を押してください。同じ場所・倍率のまま、北が上の平面表示に戻ります。方位磁針を押す操作は北向きに戻すだけで、3Dの傾きは維持します。左側の「初」は初期の場所と倍率へ戻るボタンで、半径や色の設定をすべて初期化するものではありません。[15]

3Dで立体化するのは地面の標高で、建物や高架橋の高さは再現しません。地形の高さは誇張していません。傾いた画面は手前と奥で縮尺が変わるため、距離や道路の位置を読むときも「北向き2D」へ戻すと確認しやすくなります。端末・ブラウザによって3Dが使えない場合や読み込みに時間がかかる場合は、2D表示で確認してください。[15]

半径1kmと5kmで、比較する範囲を変える

現在の初期設定は半径1km・着色0.5m以上です。図4では、沼の周辺と高い土地の位置関係を広い範囲で見るため、半径5kmを使っています。設定はPCでは左のパネル、スマホでは上部の「設定」から変更できます。[15]

試すときは同じ場所・倍率のまま、着色下限や背景を変えずに、半径だけを1kmから5kmへ切り替えます。1kmでは近くの土地との比較、5kmではより広い周辺との比較になります。高い土地を含む範囲が変われば、平均標高も着色の見え方も変わります。

半径を大きくすれば必ず標高差が大きくなるわけではなく、5kmが常に最適ということでもありません。この円は、その地点へ雨水が流れ込む流域を示したものではありません。半径を変えて気づいた場所を、次の章で紹介する公式情報や地域の記録と照らし合わせてみてください。

地形の気づきを、ハザードマップと地域の情報で確かめる

地形チェッカーで得た気づきを、災害別の地図や地域の記録と照合する手順です。

まず、どの災害を想定した地図なのかを確認する

「ハザードマップ」といっても、表示される情報はひとつではありません。今回の比較図に使った洪水浸水想定区域は、河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域です。千葉県も、市町村の洪水ハザードマップの基本情報になるものと説明しています。[8]

一方、川から水があふれなくても、降った雨を排水しきれずに浸水するのが内水氾濫です。佐倉市では内水の想定を防災ハザードマップに統合して掲載しており、洪水と内水では前提となる条件も異なります。[7][12]

自分の地域を調べるときは、地図のタイトルや凡例、表示している情報を確認し、洪水だけでなく内水の情報もあるかを確かめてください。佐倉市自身も、地図に示した箇所以外で浸水が発生する可能性を案内しています。[7]

チェッカーで気づいた場所を、もうひとつの情報と照合する

地図を動かして、自宅付近や普段通る道を表示します。初めて使うときは、現在の初期設定である半径1km・着色0.5m以上から見てみてください。図2の上志津周辺と同じ条件を試すときは、半径500m・着色1m以上に変更します。細かく見る際は拡大し、画面に表示される格子間隔も確認してください。

気になる場所があったら、自治体のハザードマップや浸水実績、道路管理者が公表する冠水注意箇所など、別の情報と照らし合わせます。晴れた日に普段の移動の中で坂や道路のくぼみを確かめることも、地図を身近にする方法です。大雨の最中に現地確認へ出かける必要はありません。[13][11]

確認結果は、次の3点に絞って残すと、備えに結び付けやすくなります。

  • 気になった場所:いつもの道の、坂を下った先にある区間など。
  • 追加で確かめた情報:内水の想定、過去の冠水、道路の注意箇所など。
  • 大雨の前に決めること:別経路の候補、出発を控える場合の連絡方法など。

確認した場所と条件は、「リンク取得」や「PNG保存」で残せます。PCでは画面上部、スマホでは「その他」から使います。共有リンクには場所や判定条件に加え、3Dの向き・傾きも含まれます。個人宅・学校・勤務先などが分かるリンクや画像を共有するときは、公開してよい範囲か確認してください。[15]

「青かった」「紫だった」だけで終わらず、自分の行動に関係するメモをひとつ残す。その一手間が、平時の確認を役立つ備えに変えてくれると思います。

晴れた日に徒歩で坂道の高低差を確認するイメージ
現地を見るなら、晴れていて安全なときに徒歩で確認します。

通勤・通学、駐車場所、旅行・出張先での使い方

目的地だけでなく、途中の道と出入口までを一続きの生活動線として確認します。

通勤・通学路は、「目的地」だけでなく「途中の道」を見る

自宅や職場、学校の場所を調べたら、次はそこまでの経路です。地図でいつもの道をたどり、周囲より低い区間を確認します。アンダーパスや地下道などの構造は標高データだけでは捉えきれないため、道路管理者の冠水注意箇所や自治体の情報も合わせて確認してください。

考えておきたいのは、迂回路を用意しても、結局は同じ低い場所に合流していないか、ということです。道の名前が違っても、同じ区間が使えなくなれば、どちらも選べなくなる可能性があります。

別経路は、地形の色だけで決めず、河川沿いの区間や土砂災害の想定なども合わせて確認します。子どもの通学では、その場で子どもだけに迂回を判断させるのではなく、学校の待機・引き渡しのルールと、保護者の連絡方法まで一緒に考えておきたいところです。ハザードマップには、災害ごとの区域だけでなく避難に関する情報も掲載されています。[12]

駐車場所は、出入口と周囲の道路も確認する

月極駐車場、買い物先、勤務先の駐車場。車を止める区画だけでなく、出入口や、そこへ向かう道路も見ておきます。

例えば、周辺より低い場所に出入口があるなら、大雨が予想される日の利用をどうするか。別の駐車場所を使えるのか、そもそも車で出かけないほうがよいのか。地形を知ることを、雨が降る前の予定の見直しにつなげられます。

車を守るための判断は、危険になる前に。 冠水が始まってから車を取りに戻ったり、移動させようとしたりして、命を危険にさらさないことが大切です。国の注意喚起でも、浸水が懸念されるときは車での移動を控え、冠水した道路に入らないよう呼び掛けています。[10]

旅行・出張先では、「初めての土地」を少しだけ知っておく

旅先では、ホテルの場所や駅からの所要時間は調べても、その道の高低差まで見る機会は少ないかもしれません。

予約した宿泊先や訪問先を表示し、駅から歩く道、レンタカーを止める場所、建物の出入口まで目を向けてみる。気になる低い区間があれば、その自治体のハザード情報と、別の行き方も確認しておきます。

宿泊する部屋が上階でも、建物への出入りや移動経路は別に考える必要があります。「目的地を確認したから終わり」ではなく、「そこへ行くまで、そこから出るまで」をひと続きで考えるという使い方です。

旅行も出張も、行程を細かく決めることだけが準備ではありません。雨の予報によって到着を早める、予定を変更する、移動を翌日に回す。そんな選択肢を、出発前から持っておきたいと思います。

大雨が近づいたら、「通る道」だけでなく「動くかどうか」を考える

ここまで紹介したのは、平時に行う地形の確認です。チェッカーの色は、現在の雨や道路の冠水状況を示しているわけではありません。 大雨が近づいたら、その時点の気象情報、自治体の避難情報、道路の規制情報へ確認を切り替えます。

気象庁の「浸水キキクル」は、短時間の強い雨による浸水害の危険度の高まりを、1km四方ごとに表示し、10分ごとに更新する情報です。地形チェッカーとは役割が違い、そのときの雨による危険の高まりを確認するために使います。[9]

そして、迂回できそうな道が見つかっても、「では出かけよう」とすぐに決める必要はありません。出発を延期する、安全を確保できる場所で待つ、用事を取りやめる。「行く方法」だけでなく、「行かない判断」も選択肢に入れることが大切です。[10][11]

千葉豪雨を受け、8月26日には内閣府・警察庁・消防庁・国土交通省などが共同で注意喚起を公表しました。そこでも、冠水した場所に近づかないことや、特別警報の前段階から最新の気象・避難情報を確認することが示されています。[11]

避難が必要な場所にいる場合は、自治体の情報に従い、危険が迫る前に行動してください。すでに周囲が冠水するなど移動が危険な状況なら、無理に道路へ出ず、その場から可能な、より安全な場所への退避を優先します。地図上の別経路が、いま通れることを保証するわけではありません。[11]

大雨の日の選択肢を、晴れているうちに増やしておく

このツールを作ったのは、「ここが危険、ここなら安全」と色だけで決めるためではありません。

「普段通っている道は、周りより低い場所だったんだ」「別の道も、同じ低い区間を通っている」「旅先のホテルまでの経路も、雨の前に確認しておこう」。地形を見たことが、そんな気づきにつながればと思っています。

ハザードマップを確認し、身近な地形を知り、過去の被害や道路の情報と照らし合わせる。そして、雨が予想される日にどう動くか、何を見送るかを考えておく。

大雨の日に初めて迷うのではなく、晴れているうちに選択肢を増やしておく。 「周囲より低い地形チェッカー」が、そのための手掛かりになればうれしいです。

まずは、自宅の周りだけでなく、いつも通る道をひとつ、地図の上でたどってみてください。

周囲より低い地形チェッカーを開く

本ツールはBousai Wx Labが制作した独自ツールであり、国土地理院・気象庁の公式サービスではありません。図1・図2は2026年9月5日の表示画面です。図3は千葉県資料から引用した写真、図4は3D対応後の表示例です。

参考資料

  1. 気象庁「令和8年8月13日からの千葉県の豪雨の名称について」
  2. ウェザーニューズ「令和8年8月千葉豪雨、2人に1人が浸水想定区域“外”で被災か」
  3. 気象庁「特定期間のデータ・1時間降水量の期間最大値」
  4. 気象庁「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」
  5. 千葉県「令和8年8月千葉豪雨について(第22報)」
  6. TBS NEWS DIG「ハザードマップの『浸水想定区域外』で起きた冠水被害で1人が亡くなった現場を取材」
  7. 佐倉市「佐倉市 内水浸水想定区域について」
  8. 千葉県「洪水浸水想定区域」
  9. 気象庁「浸水キキクル」
  10. 内閣府・警察庁・消防庁・国土交通省・気象庁「レベル5大雨特別警報が発表されたときの車運転の注意点」
  11. 内閣府・警察庁・消防庁・国土交通省・気象庁「レベル5大雨特別警報が発表されたときにとるべき行動」
  12. 佐倉市「佐倉市防災ハザードマップ」
  13. 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
  14. 千葉県「北印旛沼の堤防決壊について」(2026年9月23日発表)。掲載資料「印旛沼周辺・佐倉市域被災概要」の写真⑤を引用。
  15. Bousai Wx Lab「周囲より低い地形チェッカー:機能・操作・計算方法と注意点」。
  16. 国土地理院「地理院タイル一覧」。
気象予報士パパの防災ラボ
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