10月に5年ぶりのトリプル台風|29号は史上5番目の早さ、3年ぶりの越境台風も(2026年10月6日更新)

10月に5年ぶりのトリプル台風。29号は史上5番目の早さ、3年ぶりの越境台風も。2026年10月6日更新。 気象の見通し

2026年10月6日(火)朝時点の情報です。 台風の位置・強さは6時、掲載の衛星画像は8時30分のものを使用しています。

日本の東から南東の海上に、台風27号・28号・29号が同時に存在しています。27号は日本の東海上を北東へ進み、28号・29号も、現時点の予測では列島の東側の海上を進むシナリオが中心です。 日本付近への高気圧の張り出しが、進路を左右する大きなポイントになっています。ただし、後半ほど進路の幅が広く、特に29号は小笠原諸島や伊豆諸島への近づき方を見ていく必要があります。1 2

「3つとも日本に直撃する」という状況ではない一方、中心が離れていても高波の影響はあります。 まずは6~7日の伊豆・小笠原諸島の海の荒れ方に注意。そのうえで、3年ぶりの越境台風となった28号「ノロ」と、10月10~12日ごろに小笠原方面へ近づく可能性がある29号の動きを確認していきましょう。2 3


日本への影響は? 27・28・29号の見通し

27号は北東へ。28・29号は西へ進んだあとの曲がり方が重要

まず、3つの台風を分けて見てみます。以下の勢力は10月6日6時の実況で、今後の見通しとは区別しています。1 4

台風 6日6時の状況 この先の進路で見るポイント
27号・チョーイワン 大型で強い台風。中心気圧950hPa、最大風速40m/s 小笠原近海から北上し、次第に北東へ。中心が離れたあとも高波に注意。
28号・ノロ 非常に強い台風。中心気圧960hPa、最大風速45m/s ミッドウェー諸島近海から西へ。どこまで西進し、どの位置で北寄りへ曲がるか。
29号・コグマ 中心気圧1000hPa、最大風速18m/s マーシャル諸島付近から発達しながら北西~西北西へ。週末以降、小笠原方面への近づき方を確認。

実況値は6日6時の気象庁情報(TNC掲載)。進路の説明は、6日朝の進路図と予測資料によります。1 2 4

2026年10月6日6時の気象庁台風進路図。台風27号は北東へ、28号は西進後に北寄りへ、29号は北西方向へ進む予報。
図1 台風27・28・29号の進路予報。2026年10月6日6時、気象庁の画面より。白い予報円は台風の大きさではなく、中心が入る可能性のある範囲を表します。最新の台風情報を確認する

27号については、日本の東海上を北東進していく見通しです。一方、28号と29号は当面西寄りへ進むため、今の位置が遠いことだけで判断せず、その後の転向、つまり進む向きが変わる場所を見ていきます。特に29号は、西寄りの進路をとる場合、10月10~12日ごろに小笠原諸島へ近づき、その後は伊豆諸島の風雨にも影響する可能性があります。 現段階で、各島の雨風のピーク時刻まで絞れる状況ではありません。1 2

なお、予報円に台風の中心が入る確率は70%です。中心線だけが予定された通り道ではなく、予報円の外にも進む可能性があります。また、雨や風、波の影響は円の内外で区切られるものではありません。5

6~7日は伊豆・小笠原の高波に注意

6日5時発表の気象庁の天気予報では、小笠原諸島の6日の波は7mのち5m、伊豆諸島南部は5mのち6m、北部は3mのち5mと予想されています。いずれもうねりを伴い、7日も高い波が残る予報です。これらは海域ごとの波の予報で、すべての海岸で同じ高さになるという意味ではありません。3

海沿いの散策や釣り、船を利用する予定は、天気の晴れ・曇りだけでなく、波の予報と運航情報まで確認してください。波の高い海岸や防波堤には近づかず、27号の中心が遠ざかったあとも、海が落ち着くまでは注意が必要です。3 6

最新情報: 気象庁の台風情報 / 東京都の天気予報・伊豆諸島・小笠原諸島の予報


高気圧の張り出しが、台風の進路を左右する

「高気圧が壁になる」と考えるときのポイント

今回の進路を考えるうえで注目したいのが、大陸から日本付近にかけての高気圧の張り出しです。数値予測の画面では、日本付近と、その東の太平洋上に高気圧があり、台風は周辺の気圧配置に沿って動く様子が示されています。

台風は自分だけの力で進むわけではなく、周囲の大きな空気の流れに運ばれます。一般に、低緯度では東寄りの風で西へ進み、高気圧の縁を回って北上したあと、上空の偏西風に乗ると北東へ進みやすくなります。8

今回の予測は、列島側への高気圧の張り出しによって台風が日本の東側を通る、という見立てに沿っています。ただし、高気圧は固定された壁ではありません。張り出す位置や強さ、その切れ目が変われば、台風が西へ進む距離や北へ曲がる場所も変わります。 「高気圧があるから絶対に来ない」ではなく、台風と高気圧の位置関係を見ることが大切です。

Windyで表示したECMWFの気圧・降水予測。日本付近と太平洋上の高気圧、南東海上の低気圧が描かれている。
図2 Windyで表示したECMWFの気圧・降水予測。画面の対象日時は10月6日9時。モデルによる計算結果であり、台風の実況値ではありません。表示:Windy/予測モデル:ECMWF。

3つのモデルに共通する傾向と、そろっていない部分

ECMWF・GFS・ICONの3つの予測動画では、27号が北東へ離れ、28号・29号に対応する低気圧が西へ進んだあと、日本の東側で北上・北東進する流れが見られます。ただし、北へ曲がる位置とタイミング、発達の程度はそろっていません。 このため、東海上を通る大筋と、個々の島や沿岸にどれだけ近づくかは分けて考える必要があります。

この比較は、それぞれのモデルの1回の計算を見比べたものです。3本そろっているからといって、そのまま進路の確率を表すわけではありません。また、この比較は同条件の厳密な比較ではなく、進路傾向と予測の幅を見る補助資料として扱います。防災判断の基本は気象庁の進路予報と、地域ごとの気象情報です。

参考:ECMWF・GFS・ICONの予測動画を比較する

画面下の日時は予測対象時刻です。動画は10月6日に確認したWindyの予測表示です。各モデルの予測期間は異なり、特に先の期間は変わりやすいことに注意してください。

ECMWF

表示:Windy/予測モデル:ECMWF。

GFS

表示:Windy/予測モデル:GFS。

ICON

表示:Windy/予測モデル:ICON。

1か月予報も高気圧に覆われやすい傾向。ただし、個別の進路とは別の話

10月3~30日を対象とする気象庁の季節予報資料では、大陸から日本付近にかけて、1か月平均の海面気圧が平年より高い予測が示されています。解説も、全国的に期間の前半を中心に高気圧に覆われやすい傾向を示しています。10

今回の高気圧の張り出しを考える背景にはなりますが、1か月平均の傾向だけで、3つの台風がいつ・どこを通るかは決まりません。 数日単位の気圧配置と台風の進路予報を優先し、季節予報は大きな傾向をつかむ資料として使います。

10月3日から30日を対象とする気象庁の予測資料。大陸から日本付近の海面気圧が平年より高く、高気圧に覆われやすい傾向を示す。
図3 10月3~30日を対象とする海面気圧・上空約1,500mの気温の予測。気象庁資料より抜粋。色は平年からの差を表し、日々の天気図ではありません。季節予報の解説資料

28号「ノロ」は、3年ぶりの越境台風

ハリケーンが台風に「生まれ変わった」わけではない

28号の特徴は、日本のはるか東からやってきたことです。10月5日(月)9時、ハリケーン「ノロ」が180度経線を西へ越え、台風28号として扱われるようになりました。 このようなケースは「越境台風」と呼ばれ、今回は2023年の台風8号「ドーラ」以来、3年ぶりです。11 12

ハリケーンと台風は、いずれも熱帯の海で発達する熱帯低気圧です。今回起きたのは、すでに存在していた熱帯低気圧が海域の境界を越え、気象庁の台風番号が付いた、という変化。境界を越えた瞬間に、新しい渦が生まれたり、急に強くなったりしたわけではありません。8 13

ただし、日本語の「台風」と英語の「hurricane」では、分類に用いる風速の基準や平均時間が同じではありません。「場所だけ変われば、どんな強さでも必ず同じ分類になる」とまで単純化しないようにしましょう。8 13 14

越境しても「ノロ」という名前は引き継ぐ

台風には、日本で使う番号とは別に名前があります。通常は台風委員会が用意した名前のリストを順番に使いますが、180度経線を東から越えてきた場合などは、それまでの名前を引き継ぐことになっています。そのため、今回は新たに別の名前へ変更されず、「ノロ」のまま台風28号になりました。13

2026年10月6日8時30分のひまわり可視画像。日本の東から南東の海上に台風に伴う渦状の雲が見える。
図4 ひまわり可視画像。2026年10月6日8時30分、気象庁の画面より。台風ごとの位置は図1の進路図と合わせて確認できます。気象衛星ひまわりの画像

29号は統計史上5番目の早さ。今年の発生ペースは?

28号と29号が10月5日9時に同時発生

28号が越境して台風となった10月5日9時には、マーシャル諸島付近で29号も発生しました。27号が日本時間の10月1日3時に発生しているため、日本時間で数えると、10月に入ってからの台風発生は3個です。16 17 18 19

1951年以降の各年の「台風29号」の発生日時を比べると、2026年の29号は5番目の早さでした。気象庁データに基づくデジタル台風の一覧から、発生の月日・時刻で並べると次のようになります。20

早さの順位 年 台風29号の発生日時(日本時間)
1位 1967年 9月18日21時
2位 1971年 9月26日3時
3位 1994年 10月3日15時
4位 1965年 10月4日15時
5位 2026年 10月5日9時

発生日時の原資料は協定世界時(UTC)で、日本時間に換算しています。2026年は速報値で、後日の解析により変更される場合があります。20

9月末までに26個。平年よりかなり多い

9月末までの累計は、日本時間基準で26個でした。気象庁が公表する同じ日本時間基準の月別表から、1991~2020年の1~9月を集計すると平均は約18.4個。2026年は、それを約7.6個上回っています。19

10月5日には年初からの累計が29個となり、すでに年間の平年値25.1個を超えています。ただし、発生数が多いことと、日本への上陸数や個々の台風の被害の大きさは別の話です。今年の多発傾向は背景として押さえつつ、目の前の台風については進路・強さ・雨風の予報で判断する必要があります。19 21

10月の発生数の平年値は、気象庁の通常の統計では3.4個です。これは10月全体の平均であり、今月これから発生する数の予報ではありません。秋になっても、台風への備えを片づけてよい時期ではないと考えておきましょう。21

統計の補足:本文の「10月3個」「9月まで26個」と、その同期間平均約18.4個は日本時間に統一しています。一方、気象庁が通常公表する平年値は協定世界時基準です。27号は日本時間では10月1日、協定世界時では9月30日の発生になるため、協定世界時の月別表は9月まで27個・10月2個となります。異なる基準の数字を混ぜて差を計算しないことが大切です。19 21 22

関連記事:今年はなぜ台風が多いのか
8月の台風発生数や、今年の多発の背景については、「2026年はなぜ台風が多い? 8月は60年ぶりの10個――スーパーエルニーニョと多発の仕組みを読み解く」で整理しています。今回の進路は、向こう数日の高気圧や上空の風と分けて見ていきましょう。


秋の台風で注意したい「速さ・大雨・高波」

北東へ向きを変えたあと、急に進み方が速くなることがある

秋の台風は、北上して偏西風に乗ると、移動速度が上がることがあります。「昨日はまだ遠かったのに、今日には影響が強まる」という展開に備え、予報の更新に合わせて準備を進めることが大切です。8 23

ただし、秋の台風がすべて速いわけではありません。今回も、28号や29号はまず西寄りへ進む予測です。季節のイメージだけでなく、台風ごとの進行方向と速度、最接近までの時間を確かめてください。

台風の中心が通らなくても、前線への湿った空気で大雨に

台風周辺から暖かく湿った空気が流れ込むと、日本付近の前線が活発になり、台風の中心から離れた場所でも雨量がまとまることがあります。中心線が自宅から遠いという理由だけで、大雨の可能性を除外することはできません。24

これは秋の台風を見るうえでの注意点であって、今回、全国で大雨になると予想しているわけではありません。地域の天気予報や気象情報で雨の強まる時間帯を確認し、危険度が高まる場合は、自治体の避難情報と合わせて早めに行動してください。25

晴れていても、うねりは届く

台風が生み出した波は、うねりとして遠くまで伝わります。空が晴れている場所や、風がそれほど強くない場所でも、海だけが荒れることがあります。進路図とは別に波の予報を見る必要があるのは、このためです。6

また、予報の「波の高さ」は、海面に現れるすべての波の上限を示す数字ではありません。時にはそれを大きく超える波も来るため、「この高さなら大丈夫」と防波堤や磯へ近づかないようにしてください。6


今のうちに整えたい台風・大雨への備え

今回のように、中心が東海上を通る見通しでも、備えを点検する機会にできます。作業は雨や風が強まる前に、安全にできる範囲で済ませましょう。26

  • 家の外を確認する。 植木鉢、物干し、ベランダの小物など、飛ばされやすい物を室内へ。排水口の落ち葉やごみを取り除き、雨戸やシャッターを確認します。荒天になってから屋外や屋根で作業しないでください。
  • 停電や断水に備える。 飲料水、食料、携帯トイレ、懐中電灯、電池、充電手段を点検。必要な薬など、家族ごとに欠かせない物も確認します。
  • 避難先と移動の予定を確認する。 自宅や目的地の浸水・土砂災害リスクを確認し、家族の連絡方法を共有。島への旅行や船の利用は、欠航・変更に備えて運航情報も確認します。25 26

確認に使える公式情報: 気象庁の防災情報 / ハザードマップポータルサイト / 気象庁「台風や大雨に備えて」

まとめ:上陸の有無だけでなく、波と進路の変化を確認

10月6日朝の段階では、高気圧の張り出しを背景に、3つの台風が日本の東側の海上を進むシナリオが中心です。まずは27号による伊豆・小笠原の高波に注意し、続く28号・29号は、どこまで西へ進むか、どの位置で北へ曲がるかを確認していきましょう。1 2 3

台風が上陸しない見通しでも、海の危険や大雨の可能性までなくなるわけではありません。 雨風が強まってから慌てないよう、最新情報の確認と身の回りの備えを、今のうちに整えておきたいところです。6 24 26


参考資料・出典

情報確認日:2026年10月6日。実況・予測の対象時刻は本文と各図に記載しています。進路や発生数の速報値は、その後の更新・解析で変わる場合があります。

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