防災用ポータブル電源は何Wh必要?|停電時に使いたい家電から考える容量の選び方

防災用ポータブル電源は何Wh必要?停電時の家電から考える容量の選び方 防災用品を知る

※本記事にはAmazon・楽天市場のアフィリエイトリンクを含みます。Amazonのアソシエイトとして、気象予報士パパの防災ラボは適格販売により収入を得ています。製品情報は2026年9月18日時点で確認したもので、価格・在庫・仕様は変更される場合があります。

停電した夜、最初に困るのは何でしょうか。部屋が暗いこと、スマートフォンの残量が少しずつ減っていくこと。夏なら蒸し暑さ、冬なら底冷え。そして数時間たつと、今度は冷蔵庫の中身が気になりはじめます。

こうした場面に備えてポータブル電源を調べると、300Wh、1000Wh、2000Whと、容量の違う製品がずらりと並びます。重さは4kgほどから20kg近くまで、値段も数倍の開きがある。「大きいほうが心強いけれど、使いこなせるのか」「小さいもので本当に足りるのか」と、ここで手が止まる方は多いはずです。

容量選びの答えは、カタログの数字の大きさではなく、停電中に「どの家電を」「何時間」使いたいかで決まります。家電ごとの消費電力が分かれば、必要なWhは掛け算と足し算で出せます。

この記事では、過去の大規模停電がどれくらい続いたかを確認したうえで、家電別の消費電力、季節によって変わる必要量、冷蔵庫を動かすかどうかの判断、ソーラーパネルと天気の関係まで、容量を決める材料を順に整理します。最後に、容量クラスごとに候補になるモデルを紹介します。

停電した夜、ランタンで照らした室内でスマートフォンを充電する場面

先に結論:必要な容量は「何を守りたいか」で3段階に分かれる

次の表は、停電中に使う家電の組み合わせごとに、容量クラス別に何日もつかを試算したものです。自分の家に近い行を探してみてください。

停電中に使うもの(1日あたり) 1日の電力量 300Wh級 1000Wh級 2000Wh級
スマホ充電2回+LED照明5時間 約140Wh 約1.6日 約5.9日 約11.7日
スマホ充電2回+LED照明5時間+DC扇風機8時間(夏) 約320Wh 約0.7日 約2.6日 約5.2日
スマホ充電2回+LED照明5時間+電気毛布8時間(冬) 約380Wh 約0.6日 約2.2日 約4.3日
スマホ充電2回+LED照明5時間+冷蔵庫 約960Wh 約0.2日 約0.9日 約1.7日

スマホと明かりだけなら、300Wh級でも約1日半もちます。ただし扇風機か電気毛布を足した時点で1日に届かなくなり、1000Wh級なら同じ組み合わせで2日から2日半ほど、2000Wh級なら4日から5日です。そこへ冷蔵庫を加えると数字は一気に縮み、1000Wh級で1日弱、2000Wh級でも2日に届きません。

ここから言えるのは、迷ったら1000Wh級が基準になるということです。季節の家電を足しても2日以上もち、重さは11kg前後で持ち上げて運べる範囲に収まり、定格出力1500W級なので電気ケトルや電子レンジも短時間なら動かせます。冷蔵庫を止めたくない家庭は2000Wh級、ひとり暮らしでスマホと明かりに絞るなら300Wh級、という順に考えると選びやすくなります。表の家電の数値は後の章で出典とあわせて示し、使える電力量はカタログ容量の8割で計算しています(理由は後述の「カタログの容量は、全部は使えない」の項)。

停電はどれくらい続くのか——過去の大規模停電から考える

容量を決めるには「何日分」を用意するかの目安が要ります。近年の大規模停電を、停電の規模と復旧までの時間で見てみます。

  • 2018年9月 北海道胆振東部地震:最大約295万戸が停電し、エリア全域におよぶ大規模停電に。発生から約2日で、そのうち約99%が復旧
  • 2019年9月 令和元年房総半島台風(台風第15号):最大約93万戸が停電。ピーク時から99%が解消するまで約280時間(約12日)
  • 2024年1月 令和6年能登半島地震:最大約4万戸が停電。1月31日時点で約2,500戸まで減り、進入困難な箇所を除いて概ね復旧

多くの停電は数日のうちに大部分が戻ります。一方で、条件がそろうと1週間を超えることもあります。房総半島台風では、記録的な暴風による倒木や飛来物で電柱が破損・倒壊し、その数は1,996本にのぼりました。同じ年の台風第19号では、記録的な大雨で電気設備が浸水した地域で停電が長引いています。冬は冬で、湿った雪が電線に付着して断線や鉄塔の倒壊を起こすことがあり、気象庁はそのおそれがあるときに着雪注意報を出します。

暴風、浸水、着雪と、停電の原因になる気象の種類によって、復旧の長引き方は変わります。 樹木の多い地域や、浸水が想定される地域に住んでいるなら、長めの停電も想定に入れておくほうが現実的です。

では何日分を目標にするか。政府広報オンラインは家庭の備蓄について、3日分の食料などを挙げたうえで、大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとしています。ただ、ポータブル電源1台で1週間を支え切るのは、容量と重さの両面から現実的ではありません。まずは「最初の3日間」を目標に容量を決め、それを超える分は充電の手段で継ぎ足すという考え方が、無理のない線です。3日で電気が戻る保証はないので、継ぎ足しの手段(ソーラーパネルや車からの給電)も後の章で扱います。

WhとWの違い——容量と出力は別々に確認する

ポータブル電源を選ぶときに見る数字は、容量と出力の2つです。どちらか一方だけで判断すると、買ったあとに「使いたい家電が動かない」「思ったより早く空になる」というずれが起きます。

Whは「ためておける電気の量」、Wは「一度に使える力」

ポータブル電源のカタログには、「1024Wh」と「1500W」のように2種類の数字が並びます。似た単位ですが、意味はまったく違います。

Wh(ワットアワー)は、ためておける電気の量です。水筒でいえば容量にあたります。W(ワット)は、一度に取り出せる電気の力で、こちらは注ぎ口の太さにあたります。「消費電力100Wの家電を10時間使うと1000Wh」という関係なので、容量が大きいほど長く使えます。

注意したいのは、容量が足りていても出力が足りなければ家電は動かないことです。定格出力300Wの機種では、容量に関係なく1200Wの電気ケトルは使えません。さらに冷蔵庫のように、スイッチが入った瞬間に普段の2倍以上の電力を必要とする家電があります。同時に使う家電の消費電力の合計に、起動時の上乗せ分を見込んで、定格出力に余裕のある機種を選ぶのが基本です。

カタログの容量は、全部は使えない

ポータブル電源は、中の電池にためた直流の電気を、家庭用コンセントと同じ交流100Vに変換して出します。この変換などで電力のロスが出るため、カタログの容量をそのまま使い切ることはできません。

JackeryとEcoFlowはどちらも、使える時間の目安を「容量(Wh)×0.8÷家電の消費電力(W)」で計算するよう案内しています。1024Whの機種なら、使える電力量の目安は約820Whです。この記事の試算もすべてこの式にそろえています。使い方や環境によっては、これより短くなることもある点は見込んでおいてください。

停電中に使いたい家電の消費電力と、1日の電力量

主な家電について、消費電力と、停電中の使い方の例から出した1日分の電力量を並べます。自宅の使い方に近い時間へ置き換えて使ってください。

家電 消費電力の目安 1日の使い方の例 1日の電力量
スマートフォンの充電 1回あたり約20Wh 2回 約40Wh
LED照明(電気スタンド) 20W 5時間 100Wh
DC扇風機(最大風量) 22W 8時間 176Wh
電気毛布 定格54W(1時間あたり約20〜30Wh) 8時間 約160〜240Wh
液晶テレビ(40V型) 70W 3時間 210Wh
冷蔵庫 年間消費電力量300kWhの場合 24時間 約820Wh
電気ケトル 1200W 5分 100Wh
電子レンジ 950W 3分 約48Wh
エアコン(10畳・冷房) 約580W(立ち上がり時約1400W) 1時間 約580Wh

並べてみると、家電は大きく3つに分かれます。スマホ、照明、扇風機、電気毛布は「小さな電力を長く使う」家電、電気ケトルと電子レンジは「大きな電力を短く使う」家電、そして冷蔵庫は「中くらいの電力を1日中使い続ける」家電です。1200Wの電気ケトルでも5分なら100Whで、22Wの扇風機を8時間回すより少なく済みます。必要なWhを押し上げるのは、消費電力の大きさより使う時間の長さで、その代表が冷蔵庫です。

表の数値はあくまで目安で、同じ種類の家電でも機種によって大きく変わります。正確に知りたい家電は、本体の表示や取扱説明書で消費電力を確認してください。冷蔵庫は、カタログや取扱説明書にある年間消費電力量を365で割ると1日分の目安になります。なお、2016年以前の冷蔵庫は年間消費電力量の測定方法が現在と違うため、この計算で新しい機種と比べることはできません。

在宅で医療機器を使っている場合は、停電時の電源の確保について、主治医や機器の取扱事業者へ先に相談しておいてください。

自宅に必要なWhを出す3ステップ

計算は難しくありません。紙1枚とスマホの電卓で、次の3ステップで出せます。

  1. 停電中に使いたい家電を書き出す。 「なくても数日は我慢できるもの」はここで外します
  2. 家電ごとに「消費電力×1日に使う時間」を計算し、合計する。 これが1日に必要な電力量です
  3. 「1日の電力量×日数÷0.8」で、必要な容量を出す。 あわせて、同時に使う家電の消費電力の合計が、定格出力を超えないかを確認します

たとえば、夏の停電を3日間、ひとりで過ごす場合です。スマホの充電2回で40Wh、LED照明5時間で100Wh、DC扇風機8時間で176Wh。合計316Whを3日分にして0.8で割ると、必要な容量は約1,190Whになります。1000Wh級では約2.6日分で少し届かないので、扇風機の時間を短くするか、晴れた日にソーラーパネルで継ぎ足すと3日に届く、という見通しが立ちます。

同じ計算で、スマホと照明に冷蔵庫を加えて3日分を出すと、約3,600Whになります。一般的な2000Wh級を超える量です。冷蔵庫を含めて3日を支えるには、2000Wh級の1台でも届かないので、冷蔵庫をどう扱うかは、容量とは別に考えておく必要があります。これは後の章で整理します。

夏と冬で、停電中に頼る家電は変わる

同じ容量でも、季節によって「何時間しのげるか」は大きく変わります。電気を多く使う冷暖房を、どこまでポータブル電源に任せるかがその分かれ目です。

夏:エアコンを長時間動かす前提にしない

夏の停電でまず頭に浮かぶのはエアコンですが、10畳用の冷房で約580W、運転の立ち上がりでは約1400Wを使います。2000Wh級でも、エアコンだけで使える時間は約2.8時間です。一方、22WのDC扇風機なら、同じ2000Wh級で約74時間、3日分回せます。

夏の停電対策の軸は、エアコンではなく扇風機と、体を直接冷やす工夫です。環境省は、エアコンが使えないときの熱中症対策として、凍らせたペットボトルを飲料と冷却の両方に使うことや、濡れたタオルを肌に当ててうちわであおぐこと、こまめな水分補給を挙げています。

ただし、扇風機で体感の負担は軽くなっても、室温そのものは下がりません。台風が通過したあとは、晴れて気温が上がる日もあります。室温が高くなる日は、ポータブル電源で部屋にとどまることにこだわらず、冷房の効いた場所へ移動することを優先してください。 環境省も、冷房設備が稼働している場所への移動を勧めています。

冬:部屋を暖めるより、体を温める

冬の停電で電気ストーブを使おうとすると、750Wの機種でも1000Wh級で約1.1時間しかもちません。エアコン暖房は10畳用で約660W、立ち上がりでは約2000Wを必要とするため、定格出力1500W級の機種では動かないこともあります。

冬に頼りになるのは電気毛布です。定格54Wの製品でも、温度調節が働くため、メーカーの電気代の目安から逆算すると1時間あたりの電力量は約20〜30Whです。1000Wh級なら、30Whで計算しても約27時間使えます。部屋全体を暖めるより、寝ている間の体を直接温めるほうが、同じ容量で長く寒さをしのげます。

とはいえ、電気毛布で体は温まっても、室温が下がり続ければ体が冷えるリスクは残ります。重ね着や寝袋、湯たんぽ(カセットコンロでお湯を沸かす場合は換気に注意)を組み合わせ、寒さが厳しい日は暖房のある避難先へ移ることも選択肢に入れてください。

冷蔵庫を動かすかどうかで、選ぶ容量が1段変わる

家電の中で、容量選びをもっとも大きく左右するのが冷蔵庫です。考え方を整理しておきます。

まず、停電した瞬間に慌てて冷蔵庫をつなぐ必要はありません。パナソニックは、停電しても扉を開けなければ2〜3時間程度は冷えが保たれるとしています。そのうえで、選択肢は3つです。

  • つながない:保冷で持たせ、傷みやすいものから先に食べる。ポータブル電源はスマホ・照明・季節の家電に回す。300Wh級から1000Wh級向き
  • 1日程度だけ動かす:冷蔵庫だけなら、1000Wh級で約1日。その間に中身を減らしていく
  • 2日前後動かし続ける:2000Wh級なら、冷蔵庫・スマホ・照明の組み合わせで約1.7日

冷蔵庫をつなぐなら、容量に加えて出力も確認が必要です。冷蔵庫は起動時に普段の2倍以上の電力を使う家電なので、定格出力300W級の小型機では余裕がありません。1000Wh級以上の、定格出力1500W前後の機種を前提にしてください。

もう1つ、夏の停電では冷蔵庫の電力量が年間平均より増えやすい点も押さえておきたいところです。冷蔵庫の壁を通して入ってくる熱は、庫内と室温の差が大きいほど増えます。停電で部屋のエアコンが止まり、室温が上がれば、冷蔵庫はそのぶん多く動くことになります。夏に冷蔵庫を動かす前提なら、試算より少なめにもつと考えて容量を選ぶのが安全側です。

冷凍庫を凍らせたペットボトルですき間なく埋めておくと、保冷剤の代わりになり、溶ければ飲み水にもなります。

ソーラーパネルは「天気しだいで増える継ぎ足し」

停電が3日を超えたとき、家にいながらポータブル電源を充電し直す手段の筆頭がソーラーパネルです。ただし、発電量は天気に大きく左右されます。

京葉ガスは、太陽光発電の発電量を、晴天時と比べて曇りの日で1/3〜1/10程度、雨の日で1/5〜1/20程度としています。雲が厚くなるほど地上に届く日射が減るためで、同じパネルでも、晴れの日と雨の日では充電できる量が10倍以上違うこともあり得ます。季節でも差があり、冬は太陽の高度が低く、日射が弱くなります。1日の中でも発電は昼前後に偏るので、Jackeryはパネルの角度を2〜3時間ごとに調整するよう案内しています。

天気の読み方で差がつくのは、停電中の「充電日」の決め方です。台風が抜けたあとは晴れる日もありますが、前線が近くに残れば、曇りや雨の日が続くこともあります。天気予報で晴れが見込める日を充電日と決め、その日は昼のうちにパネルを広げて電気をためることを優先する。こうした段取りを決めておくと、同じパネルでも継ぎ足せる量が変わります。

なお、パネルをつなげる本体側にもソーラー入力の上限があるので、パネルを買い足すときは本体の仕様とあわせて確認してください。

容量クラス別の候補モデル

ここからは、容量クラスごとに候補になるモデルを紹介します。停電中の使い方に合わせて、各容量帯からメーカー公式サイトで仕様を確認できるモデルを選びました。記載している仕様は、2026年9月18日にメーカーの公開情報で確認したものです。

容量クラス モデル 容量 定格出力 重さ 電池
300Wh級 Anker Solix C300 Portable Power Station 288Wh 300W 約4.1kg リン酸鉄リチウムイオン
300Wh級 Jackery ポータブル電源 240 New 256Wh 300W 約3.6kg リン酸鉄リチウムイオン
1000Wh級 Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station 1024Wh 1550W 約11.3kg リン酸鉄リチウムイオン
1000Wh級 Jackery ポータブル電源 1000 New 1070Wh 1500W 約10.8kg リン酸鉄リチウムイオン
2000Wh級 Jackery ポータブル電源 2000 New V2 2048Wh 2200W 約18.6kg リン酸鉄リチウムイオン
2000Wh級 Anker Solix C2000 Gen 2 Portable Power Station 2048Wh 2000W 約18.9kg リン酸鉄リチウムイオン
2000Wh級 EcoFlow DELTA 3 Max 2048Wh 2200W 約20.3kg リン酸鉄リチウムイオン

7モデルとも、電池にはリン酸鉄リチウムイオン電池を使っています。容量が約2倍になるごとに、重さもおおむね2倍に近づき、300Wh級の約4kgに対して、2000Wh級は約18〜20kgです。

この重さの差は、置き場所の決め方に直結します。2000Wh級は2リットルのペットボトル9〜10本分に近く、停電のたびに収納から出して別の部屋へ運ぶ使い方には向きません。大型機ほど「使う場所の近くに置く」前提で選ぶと、いざというときに持て余しません。浸水が想定される地域に住んでいる場合は、水に浸かりにくい高さや階を保管場所に選ぶことも考えてください。

紹介したモデルの多くは、普段からコンセントにつないでおき、停電の瞬間に電池からの給電へ切り替わる機能(UPS機能)を備えています。この使い方をするときは、つなげる機器や設置の条件を、各メーカーの取扱説明書で確認してください。

300Wh級:スマホと明かりを確実に確保したい人

ひとり暮らしで、スマホと明かりを中心に考える人向けのクラスです。使える電力量は約200〜230Whで、スマホの充電なら約10〜11回分、スマホ2回と照明5時間の組み合わせなら約1日半もちます。モバイルバッテリーとの違いは、AC100Vのコンセントがあり、照明や扇風機、電気毛布も短時間なら使えることです。一方で、定格出力300Wでは冷蔵庫や電気ケトルは使えません。

Anker Solix C300 Portable Power Stationは、288Wh・約4.1kgで、USB-Cポートは最大140W出力に対応し、ノートパソコンの充電にも使えます。メーカー公表のサイクル寿命は3,000回、AC充電は約68分で満充電になります。

Jackery ポータブル電源 240 Newは、256Wh・約3.6kgと、紹介する中でもっとも軽いモデルです。メーカーは4,000回の充放電後も容量の70%を維持するとしており、保証は5年(3年+2年の自動延長)です。

1000Wh級:迷ったらここから。季節の家電まで2日以上

家族でも、ひとり暮らしでも、最初の1台として基準にしやすいクラスです。使える電力量は約820〜860Whで、スマホと照明に扇風機か電気毛布を足しても2日以上、冷蔵庫だけなら約1日動かせます。定格出力が1500W前後あるので、電気ケトルや電子レンジも短時間なら使えます。

Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Stationは、1024Wh・定格出力1550W・約11.3kgです。メーカーによると、専用モードでのAC充電は約54分。台風の接近前など、停電までの限られた時間で満充電にしやすいのは実用上の利点です。停電時の自動切り替えは約0.01秒、サイクル寿命は4,000回以上とされています。

Jackery ポータブル電源 1000 Newは、1070Wh・定格出力1500W・約10.8kgで、容量のわりに軽いのが特長です。4,000回の充放電後も容量の70%を維持するとされ、保証は5年、停電時の切り替えは20ミリ秒以下です。ソーラーパネルとのセットも用意されています。

2000Wh級:冷蔵庫を含めて在宅避難を考える家庭

冷蔵庫を止めたくない家庭や、家族で自宅にとどまる在宅避難を考える家庭向けのクラスです。使える電力量は約1,630Whで、冷蔵庫・スマホ・照明の組み合わせなら約1.7日、冷蔵庫を使わなければ季節の家電を含めて4日以上もちます。重さは18〜20kgあるので、置き場所を先に決めてから選んでください。

Jackery ポータブル電源 2000 New V2は、2048Wh・定格出力2200W・約18.6kgです。従来の2000 New(2042Wh・約17.9kg)とは別モデルです。販売ページの「V2」表記と容量を確かめてください。

Anker Solix C2000 Gen 2 Portable Power Stationは、2048Wh・定格出力2000W・約18.9kgで、AC充電は約99分です。別売りの拡張バッテリーをつなぐと合計5120Whまで増やせるため、あとから容量を足したい家庭に向きます。

EcoFlow DELTA 3 Maxは、2048Wh・定格出力2200W(瞬間最大4400W)・約20.3kgで、AC充電は約108分です。ACコンセントは4口です。

買う前と買った後に確認したい安全と保管

容量が決まったら、製品の選び方と、買ったあとの扱いも確認しておきます。大容量の電池を家に置く以上、ここは容量と同じくらい大切な判断材料です。

事故情報とリコールを確認する

ポータブル電源は大容量のリチウムイオン電池を内蔵した製品です。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2020年から2024年までの5年間に報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件で、約85%が火災事故でした。事故は6月から8月に最も多く、ポータブル電源はモバイルバッテリーに次いで事故の報告が多い製品とされています。リコール対象製品による事故も、同じ5年間で360件以上起きています。

消費者庁は、製造・販売元がはっきりしている製品を選び、回収・リサイクルに対応しているかを確認するよう呼びかけています。購入前にメーカーのサポート体制を確かめ、購入後は自分の製品がリコール対象になっていないかをときどき確認してください。 対象になっていたら、異常がなくても使用を中止し、販売店やメーカーへ連絡します。

置き場所と保管の習慣

NITEは、直射日光の当たる場所や、暑い日の車内のような高温の場所に放置しないこと、充電・使用中はときどき様子を見て、異常を感じたらすぐに中止することを呼びかけています。車中泊やレジャーで使ったあと、車に積みっぱなしにしないことも大切です。

長期保管時の残量はメーカーによって推奨が違い、Jackeryは60〜80%で保管して3か月に1度を目安に動作確認を、EcoFlowは40〜60%を維持するよう案内しています。自分の機種の取扱説明書の値に従い、季節の変わり目ごとに残量と動作を確認する習慣をつけておくと、いざ使おうとして空だった、という事態を避けやすくなります。

台風が近づく前にやること

台風による停電は、進路の予報が出てから備える時間があるのが特徴です。気象庁の台風情報は5日先までの進路予報を出しており、地域ごとの「暴風域に入る確率」も発表されます。

自分の地域が予報円にかかってきたら、ポータブル電源を満充電にし、スマホとモバイルバッテリーも充電しておきます。冷凍庫で水を凍らせておくのもこのタイミングです。ソーラーパネルを使う予定があるなら、設置場所とケーブルの取り回しを風が強まる前に確認し、暴風が吹いている間は、パネルを出すために屋外へ出ないでください。

ポータブル電源に頼らない備えも組み合わせる

ここまでポータブル電源の容量を考えてきましたが、数時間から1日程度の停電なら、モバイルバッテリー、乾電池式のランタン、カセットコンロで間に合う部分も多くあります。スマホと明かりだけを確保できればよい、という家庭では、ポータブル電源を買わずに済むこともあります。

ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の中には、AC100V・1500Wのコンセントを備え、停電時に家電へ給電できる車種があります。トヨタは、消費電力の合計が1500W以下でも、起動時の電力で合計が1500Wを超えると給電が止まることがあると注意しています。また、駐停車中にエンジンが自動で始動するため、地域によっては条例に触れるおそれがあるとしています。

エンジン式の発電機を検討する場合は、屋内では絶対に使わないでください。 消費者庁によると、発電機の排気に含まれる一酸化炭素は濃度1,600ppmで20分吸い込むと中毒症状が出て、2時間で死亡に至ります。東京都の実験では、室内で発電機を動かすと10分程度でこの濃度を超えています。

まとめ

ポータブル電源の容量は、停電中に「どの家電を」「何時間」使うかで決まります。 大きいほどよい、小さくても何とかなる、のどちらでもなく、自分の家の使い方から逆算するのがいちばん確実です。

今日できることは、夏と冬に停電したら使いたい家電を書き出し、冷蔵庫の年間消費電力量を確認することです。そのうえで「1日の電力量×日数÷0.8」を計算すれば、自分の家に必要な容量が見えてきます。迷ったら1000Wh級を基準に、冷蔵庫を動かし続けたいなら2000Wh級、スマホと明かりに絞るなら300Wh級から考えてください。

そして、買ったあとの備えまでがセットです。取扱説明書が勧める残量で保管し、季節の変わり目に動作を確認する。台風の予報が出たら満充電にする。 容量が十分でも、電池が空では役に立ちません。

参考資料

本文の数値と仕様は、2026年9月18日に確認した公的機関とメーカーの公開情報にもとづいています。家電の消費電力と使える時間は目安で、機種・使い方・環境によって変わります。製品の価格・在庫・仕様は変更される場合があるため、購入前に販売ページとメーカーの最新情報をご確認ください。

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