【千葉豪雨で改めて考える】車の水没から脱出する「緊急脱出ハンマー」|選び方・使い方・置き場所まで解説

千葉豪雨を背景に、車の水没から脱出するための緊急脱出ハンマーの選び方・使い方・置き場所を示すアイキャッチ 防災用品を知る

2026年8月13日夕方から14日未明にかけて、千葉県では記録的な大雨となりました。気象庁が「令和8年8月千葉豪雨」と名称を定めたこの豪雨では、千葉で24時間降水量367mm、1時間降水量115mmを観測。いずれも観測史上1位を更新する猛烈な雨となりました。

道路では大規模な冠水が相次ぎました。千葉市によると、市が管理する道路から撤去した被災車両は幹線道路321台、生活道路63台の計384台。さらに千葉県が管理する道路でも、一時93台の放置・被災車両が確認されています。

映像や写真で冠水した道路に何台もの車が取り残される様子を見て、「もし自分が運転中だったら」と考えた方もいるのではないでしょうか。

車は私たちを安全な場所へ運んでくれる乗り物ですが、急激な冠水に巻き込まれると、状況は一変します。ドアが水圧で開かなくなり、電気系統のトラブルでパワーウインドーも動かなくなれば、車内から出る方法そのものが限られてしまいます。

そこで備えておきたいのが、緊急脱出ハンマーです。

ただし、この記事で最も伝えたいのは「ハンマーを買えば安心」という話ではありません。

どの窓を割れるのか。どう使うのか。どこに置くのか。

ここまで知って初めて、本当の意味で「備え」になります。

気象予報士の視点も交えながら、車が水没したときの正しい脱出方法と、緊急脱出ハンマーを選ぶ際に確認したいポイントを整理します。

この記事は被害速報を商品購入へ結びつけるものではなく、平時に車のガラス、脱出手順、保管場所を点検するための常設記事です。冠水路へ入らないことと、危険を感じたら早めに車外へ出ることを最優先にしてください。

  1. 令和8年8月千葉豪雨で相次いだ車の被害
  2. 車はどのくらい水につかると危険なのか
    1. 「水深○cmまでなら大丈夫」と考えない
    2. 水圧でドアは想像以上に重くなる
  3. 車が水没したときの脱出手順
    1. ① シートベルトを外す
    2. ② ドアや窓が開くうちに脱出する
    3. ③ ドアも窓も開かなければ緊急脱出ハンマー
    4. ④ ハンマーでも脱出できない場合
  4. 本当にハンマーで車の窓は割れる?
    1. スマホや車のキーでは割れなかった
    2. 割るなら窓の中央ではなく四隅
  5. 最大の注意点|「合わせガラス」はハンマーでは割れない
    1. フロントガラスを狙ってはいけない
    2. サイドガラスも合わせガラスの場合がある
    3. ガラスの表示を確認する方法
  6. 緊急脱出ハンマーを選ぶ5つのポイント
    1. ① JIS・GSマークなど性能を確認できる製品を優先
    2. ② シートベルトカッター付きを選ぶ
    3. ③ 「ハンマー型」「ポンチ型」の違いを確認
    4. ④ 専用ホルダーで固定できるもの
    5. ⑤ 家族で乗る車は「後席から使えるか」も考える
  7. Amazon・楽天で選ぶならこの3タイプ
    1. 候補①|JIS試験合格を確認できるハンマー型
    2. 候補②|狭い車内で扱いやすいポンチ型
    3. 候補③|JIS規格適合の両側ヘッド型
  8. 買ったハンマーをトランクに入れてはいけない
  9. 水没脱出ハンマーのよくある疑問
    1. Q. フロントガラスも割れますか?
    2. Q. サイドガラスなら全部割れますか?
    3. Q. ヘッドレストを外して窓を割ればいいのでは?
    4. Q. SUVなら冠水路を走っても大丈夫?
    5. Q. 何cmまでなら冠水路を走れますか?
  10. 気象予報士として伝えたい|ハンマーは「最後の保険」
  11. まとめ|数千円の備えより大切なのは「使える状態」にしておくこと
    1. 参考にした主な資料

令和8年8月千葉豪雨で相次いだ車の被害

今回の豪雨で印象的だったのが、道路上に残された大量の車でした。

千葉市では豪雨後、市管理道路上に残された被災車両を災害対策基本法に基づいて移動。最終的に384台が撤去されています。県管理道路でも多数の被災車両が発生しました。

もちろん、この数字がすべて「乗員が車内に閉じ込められた車」というわけではありません。それでも、一度の豪雨によってこれほど多くの車が道路上で動けなくなったという事実は、冠水が決して特殊な状況ではないことを示しています。

特に怖いのがアンダーパスや周囲より低くなった道路です。

雨が激しく降っていても、運転席から道路上の水深を正確に判断することは困難です。しかも冠水した道路では路面が見えず、マンホールのふたが外れていたり、側溝との境界が分からなくなっていたりする可能性もあります。

JAFも、実際の冠水路では水深や水中の状態を判断できないため、浅く見えても安易に進入せず、可能な限り迂回するよう呼びかけています。

「このくらいなら行けそう」は、豪雨時にはかなり危険な判断です。

車はどのくらい水につかると危険なのか

水深の数字だけで安全線を決めず、車の機能とドアに生じる変化を知っておく必要があります。

「水深○cmまでなら大丈夫」と考えない

国土交通省は、車の水没について「水深が床面を超えたら、もう危険」と注意喚起しています。

水が車両の床面を超えて浸入すると、電気装置の故障やエンジン・モーターの停止などが起こるおそれがあります。

さらに水位がドア下端付近まで達すると、水圧によって内側からドアを開けることが難しくなり、ドアの高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなるとされています。

水没で怖いのは、単に「車が壊れる」ことではありません。

まだ車内はそれほど浸水していないのに、外へ出られなくなる時間帯があることです。

水圧でドアは想像以上に重くなる

JAFが行った実験では、セダンの前席ドアを水深60cmの状態で外側から開ける場合でも、通常の約5倍近い力が必要になりました。

また、車内外に水位差がある状態では、水深60cm以上で車内からドアを開けられないケースも確認されています。

「いざとなればドアを押せば出られるだろう」

そう考えていると、実際にはまったく開かない可能性があります。

車が水没したときの脱出手順

緊急脱出ハンマーは重要ですが、最初から窓を割ることが正解ではありません。

国土交通省やJAFなどの案内を整理すると、基本は次の順序です。

① シートベルトを外す

まず自分の身体を自由にします。

事故や車体の姿勢によってシートベルトが外せない場合に備えて、シートベルトカッター付きの脱出ハンマーを用意しておくと選択肢が増えます。

② ドアや窓が開くうちに脱出する

まだ水圧が小さくドアが開くのであれば、すぐに車外へ。

パワーウインドーも電気系統が正常なうちは開けられる可能性があります。窓が開くのであれば、窓から脱出します。

「もう少し車内にいた方が安全かもしれない」と待つのではなく、車が動けなくなった時点で早く脱出することが重要です。

③ ドアも窓も開かなければ緊急脱出ハンマー

パワーウインドーが作動せず、ドアも水圧で開かない。

ここで緊急脱出ハンマーの出番です。

ただし割るのは、基本的に強化ガラスが使われているドアガラスやサイドガラス、リアガラスなどです。

フロントガラスを叩き続けても、脱出口を作れない可能性があります。

④ ハンマーでも脱出できない場合

ハンマーを持っていない、あるいは破砕可能な窓がないなど、どうしても窓から出られない場合があります。

JAFや国民生活センターでは、その場合の最終手段として、車内への浸水が進んで車内外の水位差が小さくなるとドアへの水圧が低下するため、そのタイミングで大きく息を吸い、足などにも力を入れてドアを押し開けて脱出する方法を案内しています。

これはあくまで早い段階で脱出できなかった場合の最後の手段です。

最初から車内が水で満たされるのを待つ方法ではありません。

本当にハンマーで車の窓は割れる?

身近な硬い物で代用できるとは限りません。公的な実験結果から、専用品を備える意味と狙う位置を確認します。

スマホや車のキーでは割れなかった

JAFは、水没した車を想定して「車内にありそうな物で窓を割れるか」という実験を行っています。

試したのは、

  • ヘッドレスト
  • 小銭を入れたビニール袋
  • スマートフォン
  • ビニール傘
  • 車のキー
  • ポンチタイプの脱出用ハンマー
  • 金槌タイプの脱出用ハンマー
  • 小型ポンチタイプの脱出用ハンマー

などです。

結果はかなり明確でした。

ヘッドレスト、スマートフォン、車のキーなどではサイドガラスを割れず、割ることができたのは緊急脱出用ハンマーでした。

映画やドラマのように「何か硬い物で叩けば割れる」と考えるのは危険です。

特に車内が浸水してくると、水の抵抗も加わります。狭い車内では大きく腕を振ることも難しくなります。

そのため、窓を破砕することを前提に設計された専用品を備えておく意味があります。

割るなら窓の中央ではなく四隅

JAFでは、脱出用ハンマーを使う場合、窓ガラスの四隅のいずれかを狙うと効率よく破砕できるとしています。

いざというときに、

「どこを叩くんだっけ?」

とならないよう、一度取扱説明書を読んでおくことも大切です。

防災用品は「持っている」と「使える」の間に、意外と大きな差があります。

最大の注意点|「合わせガラス」はハンマーでは割れない

ここはこの記事の中でも特に重要です。

フロントガラスを狙ってはいけない

一般的な自動車のフロントガラスには合わせガラスが使われています。

合わせガラスは、複数のガラスの間に樹脂製の中間膜を挟んだ構造です。割れても中間膜によって容易には貫通しません。

国土交通省、JAF、国民生活センターはいずれも、フロントガラスなどの合わせガラスは緊急脱出ハンマーでは脱出口を作れないと注意しています。

緊急時に必死になってフロントガラスを何度も叩いている間にも、水位は上がります。

買う前に、自分の車のどの窓なら割れるのか確認しておくこと。

これはハンマーそのものを買うことと同じくらい重要です。

サイドガラスも合わせガラスの場合がある

さらに注意したいのが、「サイドガラスなら絶対に割れる」というわけでもないことです。

静粛性などを目的に、ドアガラスへ合わせガラスを採用している車種があります。

国民生活センターが2020年に国内自動車メーカー8社へ行った調査では、当時調査した187車種中25車種で、ドアガラス等に合わせガラスの設定が確認されました。

車種だけでなく、グレードによって仕様が異なるケースもあります。

そのため、

「うちの車はサイドガラスだから大丈夫」

ではなく、自分が実際に乗っている車両で確認してください。

ガラスの表示を確認する方法

JISマークが表示されている自動車用ガラスでは、国民生活センターによると次の表記が目安になります。

T・TP:強化ガラス →緊急脱出ハンマーで破砕可能

L・LP:合わせガラス →緊急脱出ハンマーでの脱出には不向き

ただし表示方法が異なる場合もあるため、分からなければ車の取扱説明書やメーカー、販売店で確認するのが確実です。

車を買い替えたら、ハンマーを載せ替えるだけでなく、新しい車のガラスも再確認することをおすすめします。

緊急脱出ハンマーを選ぶ5つのポイント

Amazonや楽天で検索すると、数百円程度の商品から数千円の商品まで大量に出てきます。

だからこそ、価格やレビュー数だけで決めない方がいいでしょう。

① JIS・GSマークなど性能を確認できる製品を優先

国土交通省は、市場で販売されていた51銘柄の脱出用ハンマーについて破砕性能を調査しています。

そのうえで、特に十分な性能が確保されていたものとして、JISマーク、GSマークを取得している製品や、自動車メーカー・販売店などが推奨する純正品等を推奨しています。

命に関わる場面で使う可能性があるものです。

「一番安かったから」ではなく、性能を確認できる根拠がある商品を優先したいところです。

② シートベルトカッター付きを選ぶ

水没だけでなく事故などで車体が傾いたり転倒したりすると、身体の重みがシートベルトにかかり、バックルを外しにくくなる場合があります。

国民生活センターも、シートベルトカッター付きの緊急脱出ハンマーを選ぶか、別途カッターを用意することを勧めています。

私は、わざわざ別々に管理するより、ガラス破砕とシートベルト切断の両方に対応できる製品の方が車載防災用品として扱いやすいと考えています。

③ 「ハンマー型」「ポンチ型」の違いを確認

緊急脱出用品には、大きく分けると、

  • 金槌のように振ってガラスを叩くタイプ
  • ピックのように握るタイプ
  • ガラスへ押し当てるポンチタイプ

などがあります。

JAFの実験では、金槌タイプとポンチタイプのいずれでも強化ガラスを破砕できています。

ポンチタイプはコンパクトで、大きく腕を振らずに使用できる製品があるのが特徴です。

一方、国民生活センターの2020年調査では、JIS D 5716「自動車用緊急脱出支援用具」の適用範囲にポンチタイプが含まれていないことも紹介されています。

そのため、単に「小さい」「オシャレ」という理由だけで選ばず、ガラス破砕性能がどのように確認されている商品なのかまでチェックしたいところです。

④ 専用ホルダーで固定できるもの

これが意外と重要です。

緊急脱出ハンマーは、車内に置いてあるだけでは十分ではありません。

事故の衝撃や急停止でシートの下へ転がってしまったり、水没時に浮いたりすれば、必要な瞬間に手が届かなくなる可能性があります。

国民生活センターは、

運転者がシートベルトで拘束されて身動きできない状態でも手が届き、安全に固定できる場所

への設置を推奨しています。

そのため、専用ホルダーや固定具が付属している商品は大きなメリットがあります。

⑤ 家族で乗る車は「後席から使えるか」も考える

運転席から手が届くだけでなく、普段誰が車に乗るのかも考えてみてください。

特にミニバンなどで後席に家族が乗ることが多い場合、前席にある1本だけでは使えない状況も考えられます。

最低限、運転席から確実に手が届く場所へ1本。

さらに後席を日常的に使う家庭では、後席側にも追加しておくという考え方もあります。

ただし、子どもが触れる可能性のある場所へそのまま置くのは避け、専用ホルダーなどを使って安全に固定してください。

Amazon・楽天で選ぶならこの3タイプ

ここからは、2026年9月3日時点でAmazonと楽天市場の販売ページを確認し、型番が一致し、メーカーや販売元の資料で性能根拠まで確認できた3製品を候補として紹介します。

Amazonでは直近1か月の購入数表示、楽天市場では同一型番の販売状況を選定時の手掛かりにしました。

ただし、売れ行き表示や順位は変動するため、性能の保証や将来の販売継続を示すものではありません。

購入前にはリンク先で型番、対応ガラス、付属品、最新仕様を再確認してください。

候補①|JIS試験合格を確認できるハンマー型

旭電機化成の「スマイルキッズ 車脱出用ハンマー KDH-001」は、販売元資料でJIS D 5716:2016のガラス破砕・シートベルト切断試験への合格が示されているハンマー型です。

シートベルトカッターと固定用ホルダーを備え、運転席から手が届く位置へ固定しやすい点が候補にした理由です。Amazonでは選定時に「過去1か月で200点以上購入」の表示を確認しましたが、この数値は変動します。

候補②|狭い車内で扱いやすいポンチ型

ミカド電子の「ResQMe RQM-JPY2」は、ガラスへ押し当てて使うばね式のポンチとシートベルトカッターを一体化したコンパクト型です。メーカーは強化ガラス用で、合わせガラスには使用できないと案内しています。

大きく振りかぶる必要がない一方、国民生活センターの2020年資料では、ポンチタイプはJIS D 5716の適用範囲外と説明されています。方式の違いを理解したうえで選ぶ候補です。Amazonでは選定時に「過去1か月で200点以上購入」の表示を確認しました。

候補③|JIS規格適合の両側ヘッド型

大自工業の「メルテック レスキューハンマー FT-30」は、メーカーがJIS規格適合を明記している両側ヘッドのハンマー型です。シートベルトカッターと車内設置用ホルダーが付属します。

本体は約80×225×30mm、約220gです。Amazonでは選定時に「過去1か月で300点以上購入」の表示を確認しましたが、同時点ではおすすめ出品が表示されず、複数の出品者候補を確認する状態でした。購入時は販売元、納期、返品条件も確認してください。

買ったハンマーをトランクに入れてはいけない

緊急脱出ハンマーの記事で、商品そのもの以上に伝えたいのがこれです。

買ったあと、そのままトランクやラゲッジスペースへ入れないでください。

国民生活センターが5,000人を対象に行った調査では、緊急脱出ハンマーを知っている人のうち、実際に車へ積載していた人は約2割でした。

さらに、持っているにもかかわらず、トランクなど「閉じ込められた状態では手が届かない場所」に積んでいるケースも確認されています。

これでは、せっかく購入しても使えません。

理想は、運転席に座ってシートベルトを締めた状態で手を伸ばし、確実に取れる場所です。

そして、その位置にしっかり固定すること。

防災用品は「買った日」がゴールではなく、「必要な瞬間に使える状態にした日」が備えのスタートです。

水没脱出ハンマーのよくある疑問

誤解しやすい点を、国土交通省、JAF、国民生活センターの案内に沿って整理します。

Q. フロントガラスも割れますか?

基本的には脱出口を作れません。

フロントガラスには合わせガラスが使用されているため、緊急脱出ハンマーで割っても中間膜が残り、容易には貫通できません。

ドアガラスなど、事前に確認した強化ガラスを狙ってください。

Q. サイドガラスなら全部割れますか?

いいえ。

最近の車を含め、一部車種ではドアガラスやサイドガラスにも合わせガラスが採用されています。

車の取扱説明書、ガラスの表示、メーカーや販売店などで、自分の車の破砕可能なガラスを確認しておきましょう。

Q. ヘッドレストを外して窓を割ればいいのでは?

少なくともJAFが行った実験では、ヘッドレストを使ってサイドガラスを割ることはできませんでした。

スマートフォン、車のキー、ビニール傘なども同様です。

インターネット上にはさまざまな「裏技」がありますが、命に関わる場面で再現できる保証はありません。

専用の脱出用品を用意する方が現実的です。

Q. SUVなら冠水路を走っても大丈夫?

おすすめできません。

JAFの冠水路走行テストでは、水深30cmや60cmでも条件によって車内やエンジンルームへ水が入り、警告灯が点灯したり、走行後にエンジンが停止したりするケースが確認されています。

電気自動車についても「エンジンがないから大丈夫」と考えて冠水路へ進入するのは危険だとJAFは注意しています。

車高の高さだけで安全を判断しないでください。

Q. 何cmまでなら冠水路を走れますか?

「○cmまで安全」と考えない方がいいでしょう。

車種、車高、速度、水の流れ、道路の傾斜などによって条件は大きく変わります。

水深30cmのJAFテストでも、速度30km/hでは車内へ水が入った車両がありました。実際の道路では水深だけでなく、マンホールや側溝、道路の損傷も見えません。

冠水していたら入らず、引き返す。

これが最も確実な対策です。

気象予報士として伝えたい|ハンマーは「最後の保険」

2026年8月の千葉豪雨では、非常に発達した積乱雲が次々に形成され、線状降水帯が発生しました。

気象庁の分析では、積乱雲の上端が15kmを超えるほど発達し、千葉では1時間115mmという猛烈な雨を観測しています。さらに、当時の数値予報モデルでは千葉県での線状降水帯を十分に予測できなかったことも明らかになっています。

これは防災を考えるうえで重要なことだと思います。

予報を確認することはもちろん大切です。

でも、すべての豪雨を何時間も前から正確に予測できるわけではありません。

だから私は、気象情報を見ることと同時に、「予想を超える雨になったとき、どう行動するか」を事前に決めておくことが重要だと考えています。

その意味で、緊急脱出ハンマーは豪雨対策の主役ではありません。

主役は、

冠水する前に移動すること。 冠水した道路へ車で入らないこと。 危険を感じたら早く車から離れること。

です。

緊急脱出ハンマーは、それでも想定外の状況に巻き込まれてしまったときの「最後の保険」です。

まとめ|数千円の備えより大切なのは「使える状態」にしておくこと

車の水没事故は、日常生活から遠い話に感じるかもしれません。

しかし、令和8年8月千葉豪雨では、一度の大雨で千葉市の市管理道路だけでも384台もの被災車両が撤去されました。

普段走っている道路が、猛烈な雨によって短時間でまったく違う場所になることがあります。

だからこそ、一度だけでも自分の車を確認してみてください。

  • 緊急脱出ハンマーは積んでいるか
  • シートベルトカッターは付いているか
  • 自分の車のどの窓が強化ガラスなのか
  • 運転席から手が届く場所に固定されているか
  • 家族も使い方を知っているか

ここまでできて初めて、「車に脱出ハンマーを備えた」と言えるのではないでしょうか。

数千円程度で用意できる防災用品でも、必要になる瞬間は一生来ないかもしれません。

むしろ、来ない方がいい。

それでも、もし一度だけ必要になったときに、その一本が車外へ出るための選択肢を増やしてくれる可能性があります。

次に大雨予報が出てから探すのではなく、何も起きていない今のうちに。

まずは自分の車のガラスを確認するところから、始めてみてください。

参考にした主な資料

情報は2026年9月3日時点で確認しました。道路・気象情報は変化するため、実際の災害時は気象庁、自治体、道路管理者などの最新情報を確認してください。製品仕様や販売状況も、購入前にメーカーと販売ページで再確認してください。

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